食の研究所

お腹も心も満たせるか? 介護食品は「スマイルケア食」へ

菅 慎太郎(株式会社味香り戦略研究所)  2015年01月28日

11月11日の介護の日に、農林水産省が新しい介護食品の名称「スマイルケア食」を発表しました。

新しい名称を作った目的は、これまでの介護食品のイメージを刷新すること、高齢者にとって誤嚥性肺炎の一因にもなっている「嚥下・咀嚼問題」を解決するために介護食品の利用を広く一般に普及させていくこと、などです。

この名称は、応募総数1091件の一般公募から選ばれました。笑顔を意味する「スマイル」に、介護、自助という意味の「ケア」を合わせており、親しみやすく、売り場でも使いやすい愛称として選定されました。

いまや65歳以上の誰もが、程度の差こそあれ噛みづらさや飲み込みづらさに悩まされていると言われており、固さを調整した食品の発売と、売り場での分かりやすい表示が強く求められる状況にあります。

「スマイルケア食」を通して「手に取りやすい介護食品」が広く認知されれば、食品業界にとっては市場拡大の契機となることでしょう。

食べやすさの向上は欠かせない

食品のおいしさは様々な構成要素から成り立ちます。味はもちろんのこと、香りや食感、あるいは色などもおいしさを構成すると言われています。

けれども、いくら味がおいしくても、食べにくかったり、食べるのにやたらと手間がかかったりするようでは食事が楽しくないし、おいしいという評価は得られないでしょう。

特に介護食品は、「食べやすさ」や「食事を介助する人の負担」など、考慮すべきポイントが多数存在します。例えば「握る」力が衰えていけば、フォークやスプーンしか使えなくなります。長いうどんやそばはフォークの間をするするとすり抜け、掴めないことへのイライラがやがて食欲を後退させてしまいます。

食欲が後退すれば、当然、必要な栄養摂取ができなくなっていきます。こうした状況から、介護食では、フォークでもつかみやすい「リング状うどん」や少量でも栄養を満たせる「高カロリー豆腐」などが開発されています。

できるだけ自立した「食」を実現することによって、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)が向上し、食欲の増進、達成感など多くの「喜び」が生まれます。それゆえ、食べる人、介助する人の両方にとって「食べやすさ」は食の必須のスペックになっていると言っても過言ではありません。

執筆者プロフィール

菅 慎太郎(株式会社味香り戦略研究所) 

株式会社味香り戦略研究所味覚参謀、口福ラボ代表。味のトレンドに特化したマーケティングの経験を生かし、大学での講義や地方での商品開発や地域特産物の発掘、ブランド化を手がける。
キッズデザインパーク講師。日本味育協会認定講師。

<記事提供:食の研究所
JBpress、現代ビジネス、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインの4つのビジネスサイトが共同運営する「食」の専門ページ。栄養士が勧める身体にいい食べ方、誰でも知っている定番料理の意外な起源、身近な食品の豆知識、食の安全に関する最新情報など硬軟幅広い情報を提供。
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