食の研究所

「カラダによい水」は薬にも毒にもならない―謎多き「機能水」の正体(前篇)

漆原 次郎(フリーランス記者)  2015年10月22日

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普段どんな水をお飲みだろうか。

インターネット調査会社GMOリサーチが2013年に行った「飲料・ミネラルウォーターに関する実態調査」では、日本の20代・30代のうち、水道水をそのまま飲んでいる人は31.2%だったという。一方、浄水器の水、またはミネラルウォーターを飲んでいる人は合わせて43.2%。水道代とは別にお金を払って水を飲んでいる人のほうが多いわけだ。

では、お金を払って水を飲んでいる人は、どんな水をお飲みだろうか。

選択肢の1つに、「健康効果を期待させる水」がある。水に何らかの物質を溶け込ませたり、加工処理を施したりして、健康効果があるように紹介している水のことだ。これらの水を「機能水」と呼ぶこともある。

実際こうした水の宣伝では「美と健康の可能性を秘めた」「カラダによい」「体内環境をサポート」などの文句が見られる。「どうせなら、体によさそうな水を選ぼうか」といった気分で、「機能水」を選んで飲み続けている人もいることだろう。

けれども、「機能水」は、本当に“機能”するのだろうか。「機能水」はもちろん医薬品ではないし、ほとんどは特定保健用食品(トクホ)にも機能性表示食品にもなっていない。そして見た目は単なる水にしか見えない。そんな水から、本当に企業の宣伝するような健康効果を得ることはできるのだろうか。

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平岡 厚(ひらおか あつし)氏。元杏林大学
保健学部准教授。理学博士。1948年生まれ。
東京都立大学大学院理学系研究科生物学専攻
博士課程単位取得退学。杏林大学保健学部を
2014年に定年退職。専門は生化学。「健康に
良い」と宣伝される水製品の性状と実体を研
究するほか、神経疾患の患者の脳脊髄液及び
血清に関する研究なども行ってきた。

こうした疑問を専門家に投げかけてみた。応じてくれたのは元杏林大学保健学部准教授の平岡厚氏。杏林大学に在職中の2002年から14年、健康効果を高める作用があると宣伝されている水について、本当にその健康効果を得ることができるかを試験して検証した経験の持ち主だ。

今回の前篇では、平岡氏が試験対象とした「活性酸素を消去する成分が含まれており、体内で抗酸化作用を示す」とする水や、「水分子のクラスターサイズ(集合規模)が小さく、生体組織への吸収率が高い」とする水について、果たしてそのような効果はあったのかを聞くことにする。

後篇では、これら以外の製品も含めて、巷で出回っている「機能水」の現状を整理し、飲み水との付き合い方を尋ねることにする。

抗酸化作用を宣伝する水、体内での効果はなし

――そもそも、なぜ「健康によい」と宣伝される水の実相を検証しようと考えたのですか?

平岡厚氏(以下、敬称略) 1997年から98年ごろ、水を電気分解すると原子状の水素(H)が生じ、それが、がんや糖尿病を抑えると九州大学の白畑實隆氏が主張していました。白畑氏は、水溶液中に含まれる原子状の水素を「活性水素」と呼んでもいました。

執筆者プロフィール

漆原 次郎(フリーランス記者) 

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。
著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。

<記事提供:食の研究所
JBpress、現代ビジネス、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインの4つのビジネスサイトが共同運営する「食」の専門ページ。栄養士が勧める身体にいい食べ方、誰でも知っている定番料理の意外な起源、身近な食品の豆知識、食の安全に関する最新情報など硬軟幅広い情報を提供。
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