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機能性表示食品を検証!問われる国の関与のあり方 ―科学的根拠にばらつき、疑義は解消されるのか?

白田 茜(フリーランス記者)  2015年12月17日

システマティックレビューとは、自分に都合の良い文献のみを集めたりせず、関連する国内外の研究を網羅的に収集し精査することだ。質の悪い論文は除外するなど総合的に評価する必要がある。しかし、各社の研究レビューの質には差が生じているようだ。

食情報を提供する消費者団体「foodcom.net」が6月25日に発信した記事「FOOCOMが6月19日、消費者庁に機能性表示食品について申し入れ」によると、システマティックレビューをして採択された論文の一部には、「論文精査の結果、除外されるべきであり、レビューをやり直すべきだ」と指摘したものもあったという。

さらに記事では、「論文、システマティックレビュー等から言える効果と、届出表示にまず、乖離がある」としており、表示に問題のある商品もあったという。同記事では、研究の質はかなりの部分が事業者のモラルと消費者の判断に任されたものになっており、消費者庁は事業者に対し改善を促すべきだと主張している。

消費者庁は、1031日までに届出のあった機能性表示食品の研究レビューの検証事業を始め、消費者庁から民間に委託し、学識経験者などで構成するワーキンググループを設置・運営するという。制度を適正に運用するために、制度全体の課題を抽出することが目的だが、「実質的な審査になるのではないか」という懸念の声もあるようだ。

もっとも、研究の質については来年度からハードルが上がる。「CONSORT声明」とよばれる国際的にコンセンサスの得られた指針などに準拠した形式で、専門家が水準に達したと認める「査読付き論文」に掲載されていることが要求されるのだ。引き続き、今後どのような届出があるのか注目していきたい。

消費者の見る目が養われるように

機能性表示食品制度のねらいの1つは、怪しげな健康食品を淘汰することだった。制度に乗った商品であれば、安全性や機能性に関する情報がすべて公開され、商品の選択は消費者の判断に委ねられる。

とはいえ、事業者から一般向けに公開されている情報を一般人が内容を理解するのはかなり難しい。まして、研究のまで分析し「本当に効果があるのか」どうか検証するのは至難だ。

消費者団体が科学的根拠についての疑問を投げかけているが、多くが疑義に対する回答が得られておらず宙に浮いたままだ。疑義に対する解決方法が不明確であることは、この制度の課題だろう。

また、この制度では消費者教育が最も大切だと思われるが、肝心な消費者に対する普及啓発の部分が抜け落ちているように思う。

消費者庁食品表示企画課は消費者委員会本会議で「今年度、消費者教育関連の調査事業を行っており、来年度以降、本格的に短期的とか中長期的な消費者への普及啓発活動を行っていこうと思っている」とコメントしているが、具体的な内容についてはまだ明かされていない。企業モラルに委ねるだけでなく、私たち消費者も判断力を養うべきだと思う。

消費者庁は、1117日、機能性表示食品制度に関する消費者意向調査事業を実施するため公告を出した。民間に委託し、グループインタビューと3000名以上を対象にした大規模インターネット調査を行う。機能性表示食品の商品表示や、機能性や安全性などの公開情報を、消費者がどのように捉えているかを検証し、消費者が誤認することなく提示されているかなどを調べるのが目的だ。

消費者庁は機能性表示食品の制度の施行後2年を目途に施行状況を検討し、必要な措置を講じるとしている。現在の制度はいくつもの課題を抱えたままだ。消費者意向調査などの結果を踏まえ、消費者にとって分かりやすい制度になってほしいと願う。

執筆者プロフィール

白田 茜(フリーランス記者) 

白田 茜(しろた あかね) 1978年佐賀県生まれ。 佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。
食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。

<記事提供:食の研究所
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