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TPPで注目される「地理的表示保護制度」とは?―地域ブランド化と6次産業化で強い農業を目指せ

白田 茜(フリーランス記者)  2016年01月21日

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GIマーク

一方、2015年6月には「○○ビーフ」など地名に産品名を結びつけた地理的表示を知的財産として保護する「地理的表示保護(GI:Geographical Indication)制度」が始まった。

GI制度は、不正な地理的表示の使用を行政が罰則で取り締まるもの。地理的表示が生産地や品質の基準とともに登録されれば、地理的表示の使用が認められるようになり、「GIマーク」を付することもできる。不正な使用を行政が取り締まり、訴訟の負担なく自分たちのブランドを守ることができるのだ。消費者にとっても、行政の“お墨付き”があるので分かりやすい。

 GI制度地域団体商標制度
対象 農林水産物、飲食料品等(酒類等を除く) 全ての商品・サービス
申請主体 生産・加工業者の団体(法人格を有しない地域のブランド協議会等も可能) 事業協同組合等の特定の組合、商工会、商工会議所、NPOに限る
産地との関係 品質等の特性が当該地域と結び付いている必要がある 当該地域で生産されていればよい
ブランド化の程度 伝統性
一定期間継続して生産している
周知性
一定の需要者(近県等)に知られている
品質等の基準 産地と結び付いた品質の基準を定め、登録・公開する必要がある 制度上の規定はなく、権利者が任意で対応する
品質管理 生産・加工業者が品質基準を守るよう団体が管理、管理状況について国の定期的なチェックを受ける 制度上の規定はなく、権利者が任意で対応する
登録の明示方法 GIマークを付す必要がある 登録商標である旨の表示を付すよう努める
規制手段 不正使用は国が取り締まる 不正使用は商標権者自らが対応(差止請求等)
権利付与 権利ではなく、地域共有の財産となり、品質基準を満たせば、地域内の生産者は誰でも名称を使用可能 名称を独占して使用する権利を取得
保護の期間 取り消されない限り権利が存続(更新手段・費用はかからない) 登録から10年間(継続するためには更新手続・費用が必要)
海外での保護 地理的表示保護制度を持つ国との間で相互保護が実現した際には、当該国においても保護される 各国に個別に登録を行う必要がある

※地域団体商標制度との比較(参考:農林水産省「他のブランド関連制度との違いについて」(地理的表示活用ガイドライン)を一部抜粋して筆者作成

GI制度の対象となる産品は、農林水産物や食品などだ。産品の登録要件として、同種の産品と比べて差別化された特徴があり、その特徴がある状態でおおむね25年にわたり生産された実績(伝統性)がある場合に登録できるとしている。また、産地や生産方法が産品の特性と結び付いていることを説明しなければならない。

農林水産省は申請内容を公示し、第3者からの意見書提出期間を3カ月間設けている。同省の「登録申請の公示等情報」によると、12月21日時点で申請があったものは15品。このうち、12月22日に北海道夕張市の「夕張メロン」や兵庫県の「神戸ビーフ」「但馬牛」など7産品が登録された。

同省は認定で販売価格を押し上げ、農家の所得向上につなげたい考えだ。今回認定されなかった品目についても、今後、順次認定していくという。

商品名生産地
あおもりカシス 東青地域(青森県青森市、青森県東津軽郡平内町、青森県東津軽郡今別町、青森県東津軽郡蓮田町、青森県東津軽郡外ヶ浜町)
但馬牛 兵庫県内
神戸ビーフ 兵庫県内
夕張メロン 北海道夕張市
八女伝統本玉露 福岡県内
江戸崎かぼちゃ 茨城県稲敷市および牛久市桂町
鹿児島の壷造り黒酢 鹿児島県霧島市福山町及び隼人町

※地理的表示保護制度で登録された商品。2015年12月現在(参考:農林水産省「登録産品一覧」を参考に筆者作成)

執筆者プロフィール

白田 茜(フリーランス記者) 

白田 茜(しろた あかね) 1978年佐賀県生まれ。 佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。
食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。

<記事提供:食の研究所
JBpress、現代ビジネス、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインの4つのビジネスサイトが共同運営する「食」の専門ページ。栄養士が勧める身体にいい食べ方、誰でも知っている定番料理の意外な起源、身近な食品の豆知識、食の安全に関する最新情報など硬軟幅広い情報を提供。
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