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TPPで注目される「地理的表示保護制度」とは?―地域ブランド化と6次産業化で強い農業を目指せ

白田 茜(フリーランス記者)  2016年01月21日

世界でもGI制度があり、有名な「パルマハム」や「パルメザン」なども地理的表示にあたる。

海外でGI制度が進んでいるのはEUだ。ある製品が特定の国や地域を原産地とし、その品質や評判などの特性がその原産地と結びつきがある場合に、その原産地を特定する表示ができる。

地域との結びつきの程度によって「原産地呼称保護(PDO:Protected Designation of Origin)」と「地理的表示保護(PGI:Protected Geographical Indication)」の2種類に分けられる。

EUで行われた調査では、多くのケースで収益の上昇が見られるという。農林水産政策研究所の内藤恵久氏による「地理的表示の保護について」(『農林水産政策研究』第20号)によると、EU域内10カ国・18品目のPDO/PGI産品のうち14品目が、登録されていない同等の品質を備えた産品より高い価格で取引されている。その価格差は5%程度から300%までさまざまという。ほかにも、農家手取りの向上、輸出市場で有利になるなどの効果があるという。

内藤氏によると、日本は農産物・食品の特徴として、小規模で多数の生産者の存在、品質のばらつきの大きさ等の特徴があるという。GI制度では、産地と結び付いた品質の基準を定めて登録・公開する必要があるが、品質基準を満たせば地域内の生産者は誰でも名称を使用することができるので、このような日本の特徴に対応した制度といえよう。

また、GI制度は輸出を後押しする効果もあると期待されている。たとえば、2国間で相手国のGI制度を自国で保護する条件について相互に合意すれば、海外でも地理的表示の保護が可能となるのだ。日本でGI制度に登録された商品が海外でも保護されれば、生産者も安心して輸出することができる。

また、地理的表示保護制度の実施はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉の知的財産分野でのテーマになっており、今後TPPが成立すれば、加盟国の間で地理的表示の保護制度が検討されるかもしれない。国内ではまだ緒に就いたばかりのGI制度に、今後も注目していきたい。

全国で進む6次産業化

農家が農産物を生産する1次産業だけでなく、加工品を製造する2次産業や、販売や飲食業など3次産業までを一貫して行う「6次産業化」の動きも加速している。

農林水産省が2015年6月に発表した「6次産業化総合調査(2013年)」によると、農産物直売所や農産物の加工など6次産業化関連の年間総販売金額は1兆8253億円で、前年度から4.6%増加した。また総従事者数は46万8200人で、前年度から3.8%増加したという。

 販売金額総額(百万円)1事業体当たり販売金額(万円)事業体数従業者数
農作物の加工 840,670 2,748 30,590 1,779
農作物直売所 902,555 3,807 23,710 2,126
観光農園 37,766 433 8,730 569
農家民宿 5,431 260 2,090 69
農家レストラン 31,045 1,979 1,570 128
1,825,272 2,733 66,780 4,671

※6次産業化の形態別の販売金額など(参考:農林水産省「6次産業化総合調査(2013年)」より筆者作成)

執筆者プロフィール

白田 茜(フリーランス記者) 

白田 茜(しろた あかね) 1978年佐賀県生まれ。 佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。
食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。

<記事提供:食の研究所
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