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加工肉でがんになる?本当はどんな報告だったのか ~誤解だらけの加工肉・赤肉問題(前篇)

漆原 次郎(フリーランス記者)  2016年02月18日

――どういうことでしょう?

笹月 加工肉の場合、「摂取量が50グラム増えると、リスクが18パーセント高まる」、また赤肉の場合、「摂取量が100グラム増えると、リスクが17パーセント高まる」と言っているのです。50グラムや100グラムという摂取量でリスクが線引されているわけではありません。

テーマが絞られていたゆえに注目されやすかった

――過去にも国際的な機関が、加工肉や赤肉と発がんの関係性について指摘していたという話でしたが、過去にはこれほど騒ぎにならなかった気がします。今回どうしてここまで騒ぎになったのでしょう?

笹月 2003年や2007年の報告は、あらゆる食事や身体活動などを扱ったものです。肉の摂取については、その中のごく一部の項目にすぎませんでした。けれども、今回は1テーマに絞った発表で「赤肉および加工肉」が取り上げられたのです。そこに社会や人びとの関心が集中してしまったのだと思います。

――人々が物事をきちんと判断するためには、やけに具体的なテーマに絞ること自体、問題がある気もします。発表する機関は、そうした影響も考えなければならない気がするのですが・・・。

笹月 たしかに、今回のような評価があると、食肉団体など利害関係に関わっている団体は猛反発をするということは予想できます。

ただし、その一方で、科学的な評価がそうした利害関係からくる反発などに左右されてはならないといった考え方もあります。関連団体からコンタクトを受けて、「やっぱりあの結果はやり直します」となったら、それはそれで困ります。

――そうですか。今回の発表は世界に向けてのものでしたが、私たち日本人は肉をどう摂取すればよいのかが気になります。

笹月さんはじめ、日本の研究者は、日本人を対象とする食事と発がんの関係性の研究を集めてとりまとめたと聞きます。後篇では、日本人を対象にした話を聞いていきたいと思います。

執筆者プロフィール

漆原 次郎(フリーランス記者) 

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。
著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。

<記事提供:食の研究所
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