食の研究所

日本人には食事より気にすべき「がんリスク」がある ~誤解だらけの加工肉・赤肉問題(後篇)

漆原 次郎(フリーランス記者)  2016年03月17日

――その評価からは、日本人の肉の摂取と発がんのリスクについて、どんなことが言えるのでしょう?

笹月 加工肉や赤肉の摂取量に応じて、人びとを「最低群」から「最高群」までに分けたとき、加工肉については最高群の大腸がんリスクが最低群の1.17倍となりました。赤肉については、最高群の大腸がんリスクが最低群の1.16倍となりました。

――評価の対象とした過去の各研究は、すべて同じ条件で統一されているのでしょうか?

笹月 過去の研究では群の分け方が3群だったり5群だったりとばらばらなのですが、それぞれにおける最高群のリスクから総合的に割り出した結果がこの値です。

――最も多く摂取した群と最も摂取しなかった群の比較としての「1.17倍」や「1.16倍」・・・。この数値をどう捉えたらよいのでしょう?

笹月 大腸がんについては、飲酒といったリスク要因や、身体活動といった予防要因など、他に重要なものがあり、この数値自体の大きさはそれほど心配しなくてもよい値だと私は思います。

――今回の国際がん研究機関の報告後、がん研究センターが発信した「赤肉・加工肉のがんリスクについて」でも、日本人について「総合的にみても、今回の評価を受けて極端に量を制限する必要性はないと言えるでしょう」と述べていますね。

笹月 はい。総じて欧米の国々に比べて、日本人の肉の摂取量は少ないものです。世界的には、赤肉の摂取量はおおむね1日50~100グラムですが、2013年の国民健康・栄養調査によると、日本人では赤肉が50グラム、加工肉が13グラムです。

日本人全員がまったく心配する必要ないというわけではありませんが、みんなが食べるのをやめるとか、食べる量を極端に減らさなければならないということには結びつきません。

執筆者プロフィール

漆原 次郎(フリーランス記者) 

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。
著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。

<記事提供:食の研究所
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