食の研究所

「遺伝子組換えでない」と言える混入率は何%まで?~「遺伝子組換え表示」改革を巡る消費者と生産者のせめぎ合い

佐々 義子(NPO法人 くらしとバイオプラザ21 常務理事)   2018年03月23日

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消費者庁で行われている遺伝子組換え表示検討が大詰めを迎えている。1月31日に実施された第8回検討会では報告書のたたき台が、また2月16日の第9回には素案が提示された。現行の遺伝子組換え食品の義務表示制度は2001年4月に施行されたので、17年ぶりの大きな見直しである。

今回、検討されている見直しの論点や背景を伝えるとともに、見通しを示したい。

現行では「使用」「不分別」「不使用」

食品の表示は消費者にとって「分かりやすい」ことが最重要であり、限られたスペースで、安全に関わる情報と商品選択に役立つ情報の2つを提供する役割がある。安全情報には消費期限、保存方法、アレルギー関連情報が該当する。一方、2017年に見直された原料原産地や、今回の見直し対象である遺伝子組換えなどは、安全性には関係なく、消費者の商品選択に資するものである。

現在、行われている遺伝子組換え作物・食品の表示には、義務表示である「使用」と「不分別」、任意表示である「不使用」がある。「不分別」とは、遺伝子組換えでない原料の分別流通管理をしていないので、遺伝子組換え原料が含まれる可能性があることを意味する。また、意図しない混入率(分別流通管理を行っても遺伝子組換え原料が混ざってしまうこと)が総重量の5パーセント以下であれば、「不使用」と表示できる(下の表)。

農産物の区分表示内容
分別生産流通管理が
行われた農産物
遺伝子組換え農産物 分別生産流通管理が行われた
    遺伝子組換え農産物である旨
例:「遺伝子組換えのものを分別」
  「遺伝子組換え」
「使用」
《義務表示》
非遺伝子組換え農産物
(意図しない混入率が総重量の5%以下)
分別生産流通管理が行われた
    非遺伝子組換え農産物である旨
例:「遺伝子組換えでないものを分別」
  「遺伝子組換えでない」
「不使用」
《任意表示》
分別生産流通管理が
行われていない農産物
遺伝子組換え農産物および非遺伝子組換え農産物が
    分別されていない旨
例:「遺伝子組換え不分別」 「不分別」
《義務表示》

現行の表示区分制度。第6回遺伝子組換え表示制度に関する検討会 資料1を参考に作成。

BtoBプラットフォーム規格書

執筆者プロフィール

佐々 義子(NPO法人 くらしとバイオプラザ21 常務理事)  

(さっさ・よしこ) NPO法人 くらしとバイオプラザ21 常務理事。博士(生物科学)。NPOでは、バイオテクノロジーと人々の暮らしを切り口にしたサイエンスコミュニケーションの実践と研究を行っている。ことに「バイオ」に特化したサイエンスカフェ「バイオカフェ」を企画、実施してきた。神奈川工科大学客員教授。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。

<記事提供:食の研究所
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