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「カスタム」できる飲食店、メリットとデメリットに迫る

2014年07月15日

ゼロベースでカスタムするラーメン

サンドイッチチェーンの「SUBWAY」や都内で話題の生パスタ店「Gaston&Gaspar」をはじめ、「自由にカスタムしながら自分の好みに合わせてメニューを作り上げる」という業態の飲食店が増えている。ソースなどのフレーバーやトッピングの具材を選べるカスタムオーダー式のほか、ベースとなる食材から味付けに至るまで全てを客が選んで決めるフルオーダー式の店も登場。カスタムオーダー式やフルオーダー形式を取り入れる飲食店のメリットとデメリットは?今回は、1ヶ月で来店者1万人をたたき出した話題のオーダーメイドラーメン店「名古屋豚骨一番軒」に聞いてみた。

「名古屋豚骨 一番軒」のメニューは、3種類のスープ、麺の太さ、麺の硬さ、16種類のトッピングを自由に組み合わせて作り上げる、文字通りのオーダーメイドラーメンだ。そのバリエーションは、スープ、麺、トッピング3品を選ぶ基本の3品ラーメンだけでも数万通り以上にも上る。トッピングの追加も可能で、それも含めると組み合せは無限大に広がる。「もやし、きくらげ、ほうれん草」など野菜中心のヘルシー系、「チャーシュー、チャーシュー、チャーシュー」や「えび水餃子、えび揚げ餃子、チャーシュー」のガッツリ系と、嗜好や欲望のままに自分だけの一杯を楽しむスタイルが、男女問わず多くのファンを虜にしている。

店舗を運営するのは、名古屋を中心に愛知県内で7店舗のラーメン店を展開している有限会社ファーストモア(本社:愛知県名古屋市)。代表取締役社長の三木規彰氏は、豚骨ラーメンの本場九州で15年にわたって修業を重ね9年前に独立。一番軒や一番舎など数々の店を手掛けてきた筋金入りのラーメン職人だ。ラーメン店の店主といえば“頑固一徹”のイメージが強く客の好みに合わせるカスタムオーダーとは真逆の立ち位置。そんなオーダーメイドラーメン店は、どのようにして生まれたのか。

「私自身、30歳で独立して以来、頑固一徹のラーメン店主でした(笑)。ただ、修業時代から豚骨一筋で20年やってきて、お客さんに楽しんでもらいたいという思いが年々強くなってきたんです。自慢の豚骨ラーメンをもっと楽しんでもらうにはどうしたらいいか考えるうちに、押し付けるのではなくお客さんのわがままを叶えてあげようという結論に至りました。それなら、オーダーメイドしかないと。「カレーハウスCoCo壱番屋」さんのカスタマイズシステムも参考にしました。」

システムにも味にもこだわり続け、原価率は50%以上に

しかし、フルオーダーメイドとなると、食材管理や調理の手間はもちろんコスト面でも相当な負担があるのではないだろうか。

「お客さん一人ひとりのわがままに応えるとなると、それだけの準備が必要です。トッピングひとつとっても、どれが出てどれが残るか読みが効かない。当然、残ったものは捨てなければなりませんからロスも生まれます。そこで、ワースト5を切り捨てて新しいものと入れ替えるなど、定期的にブラッシュアップしているところです。また、一杯ずつ調理の仕方が異なるカスタムオーダーだけに、オープン当初はクレームが殺到しました。厨房の設計ミスで調理の流れが悪く、提供が追いつかなかったんです。自分だけの一杯を待つワクワクドキドキ感が、長時間待たされることでイライラに変わってしまった。これはマズいということで数日間クローズして厨房ごと入れ替え、オペレーションを改革しました」

麺、スープ、トッピングの売れ行きなど不確定要素が多く、読みが難しいオーダーメイドラーメン。厨房の入れ替えは想定外だったにしろ、ロスは避けて通れないというのが現実だ。さらに、システムにも味にもこだわり続けた結果、原価率はラーメン店の業界水準を大きく上回る50%超となっているという。

「原価率の高さをアピールするつもりなど毛頭ありませんし、お客さんに公表するものでもありません。儲けよりも、お客さんのわがままとワクワク感が詰まった一杯のラーメンづくりに重きを置いた結果です。でも、『うちはこれだけのものを出しているんだ』と、スタッフには自負として心に持っていてほしいですね」

客のわがままに応えるための苦労や努力は、並大抵のことではないだろう。しかし、「これでいい」という区切りがなく常に進化を続けなければならないため、緊張感と向上心がスタッフの間に醸成されることは、店にとって大きなメリットだといえる。業界の常識を覆し客のわがままを叶えようとする店の躍進は、今後の飲食店の在り方にも大きな影響を与えそうだ。

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