レポート

カリスマたちの座談会「外食産業の10年後(未来)はこうなる」~『FOODiT TOKYO 2016』レポート

2016年09月02日

①接客~AIがおすすめメニューを提案する、10年後の“接客”

AIの発達によって、人間が会話する際の文脈や声のトーン、表情などがリアルタイムに解析されるとしよう。接客係が来店客の注文を取る際、相手のリピート回数や疲労などの健康状態を察知しておすすめメニューを提案し、その際の表情に陰りがあればすぐさま別のメニューを再提案することが可能になる。またVR(仮想現実)によって立体映像の接客係を出現させ、実際の人間を介することなく席に案内したり注文を受けたりできる、そんな世の中がくるかもしれない。

子安「こういうテクノロジーの進化は最近メディアで多々取り上げられていますが、飲食業界の関係者は、まだ他人事として捉えていると感じます。環境は変わっていきます。この変化を皆さんが自分の事として捉えることが必要です」

中村「今までだと、高度な接客をするスタッフが飲食店では重要な戦略だったのですが、今後はお店がスタッフを起用しなくても、機械がやってくれる世界が来るかもしれません」

楠本「外食のすごい点は接客、お客様と接していることです。これは他の業界にはなかなかありません。AIに学ばせることはある程度はできるけれど、先手を取ってAIをコントロールして、そのあり方の方向性を示していくのは、外食の役割だと思います」

接客のAI化は、どの登壇者もAIのサポートによって変っていくだろうという意見で概ね一致した。続いて調理はどうだろうか。

②調理~人間の動作を学ぶロボットによる“調理”が当たり前に?

2017年、アームや指が高度に動く家庭用調理ロボットが実用化されようとしている。値段は800万~900万円とされているが、10年後は10分の1や20分の1まで下がっていたとしても不思議ではない。重要なポイントは、人間の動きをロボットが学習することだ。学習した内容はデジタル化されるため、世界中に普及した調理ロボットにそのデータを読み込ませることで、いつでも、どこでも、繰り返し同じ料理を再現できるようになる日もくるだろう。

楠本「今までは調理って、テクノロジーから一番遠いものと思われていたのですが」

中村「これは料理人にとってすごく夢のある話だと思います。今まではお店に来るお客様しか相手にできず、席数で売上が決まっていたけれど、世界中で自分の料理を出せるようになりますよね。そうなると、技術のある料理人は自分のデータでお金を稼げる。そして世界中で自分の料理を食べられて、おいしいと言っていただけるようになります」

楠本「三ツ星シェフのフルコースが、ファーストフードで提供できる可能性もあります。アメリカにCIAというフードビジネススクールがありますよね。2010年に日本食のプレゼンがあって僕も行ったんですが、その翌年にはIoT、つまりモノのインターネット化についての特別講義を1年かけて徹底的にやっていました。そして現在、CIAはMIT(マサチューセッツ工科大学)と提携しています。僕はすでに、テクノロジーの進化が調理ビジネスを狙っているんだと感じています。日本にはフランスやアメリカで講演したり、ミシュランの星を持ったりするほど評価の高いシェフは多数いらっしゃいますから、料理人の土俵を作っていかないともったいない」

※IoT(Internet of Things):あらゆる物質がインターネットに繋がり、互いに影響し合うという概念。

接客と調理の討論をまとめると、10年後の飲食店の接客係や調理人は、テクノロジーに置き換わると同時に、テクノロジーをどうコントロールしていくかが重要になるということだ。最後に飲食店としての「場」がどうなるかを見ていきたい。


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