食の研究所

カフェで座れる席を増やすために客ができることは?~習慣の違いから来る「空き容器の放置」問題

漆原 次郎(フリーランス記者)  2018年05月21日

カフェに限らないが、空き容器の回収を業務とする係が存在するため、客はセルフ片づけをすることなく退店するという習慣が、世界の地域によってはあるようだ。この背景には、金を払う側と働く側とを明確に区分する強い意識があるのかもしれない。

英国のスターバックスでは、2017年にリサイクル活動の一環で、退店時には店内に設置したボックスに使用済み容器を戻すことを客側に推奨する告知を出した。セルフ後片づけが進むことにつながるだろう。

だが、人々の習慣は簡単には変わらないもの。後片づけをしないのが当然という習慣で暮らしてきた人は、訪れた日本でセルフ後片づけが慣行されているとは思わないだろう。外国人に限らず、そう育ってきた日本人にも当てはまることではあるが。

チェーン展開の企業は「現段階では方針なし」

カフェを運営する側に何か考えはあるだろうか。カフェをチェーン展開する企業に、空き容器のテーブル放置に対して「社として方針はあるか」と「客が協力できることはないか」を聞いた。

スターバックスコーヒージャパンからは「今回はコメントは辞退したい」との返事が。タリーズコーヒージャパンからは「(そういう事例が)増えたら検討はすることにはなるが、現段階では社としての方針はない」とのことだった。

両社とも、店頭スタッフの臨機応変な対応力に委ねている部分は大きいのだろう。

「置きっぱなしみたいですよ」と伝えられる

東京など大都市圏のカフェの混雑は常態化している。座れる席が少しでも増えれば、客としては満足感が増すが、逆になかなか席に着けなければストレスが生じる。

使用済み容器が長いこと放置されることなく処分されれば、それだけ座れるのが確実な席が増えることになる。店にいる人たちはどんなことができるだろうか。

テーブルを拭く役割の店員に、よりこまめに店内の状況を見渡して巡回してもらえれば、放置の見逃しは減るだろうし、処分してよいかの判断もしやすくなるだろう。だが、今も忙しそうに働いている店員たちに、今以上のことを求めるのは、店をよく使わせてもらう筆者としては気が引ける。

すると、客側のちょっとした協力が効果的となるのではないか。近くのテーブルで5分、10分、15分と使用済み容器が放置されたままであることに気づいたら、近づいてきた店員に「置きっぱなしみたいですよ」と伝えることができる。また、新たな客が席を探していれば「置きっぱなしみたいだから、店員に尋ねたらいいかもしれませんよ」と伝えることもできる。

カフェでの座席確保を巡っては、他にも長時間利用の問題や、椅子に荷物を置く問題などもある。空き容器の放置は小さな問題かもしれないが、今後こうした場面は増えていくことだろう。

カフェもある種の公共の場。客の“おせっかい”的な協力が、その場の使われ方を少しだけ改善することにつながる。

執筆者プロフィール

漆原 次郎(フリーランス記者) 

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。
著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。

<記事提供:食の研究所
JBpress、現代ビジネス、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインの4つのビジネスサイトが共同運営する「食」の専門ページ。栄養士が勧める身体にいい食べ方、誰でも知っている定番料理の意外な起源、身近な食品の豆知識、食の安全に関する最新情報など硬軟幅広い情報を提供。
食の研究所はこちらhttp://food.ismedia.jp/

食の研究所 バックナンバー

おすすめ記事

関連タグ

『BtoBプラットフォーム』とのID統合について
食品こだわり展示会2018
フーズチャネルコンテンツガイド