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多くの飲食店が出店した新業態は? ~2018年1年間の一覧付き

2019年04月02日

「サラダ専門店については、サラダの人気がなくなったわけではありません。新たに新業態として出店する企業がないだけで、サラダ専門店の先駆けである『クリスプ・サラダワークス』は2018年も引き続き3店舗を出店しています。実はスーパーで一番伸びている部門はサラダ部門です。中食まで含めると、消費者は多少値段が高くてもヘルシーさを求めるトレンドがあると考えられます」

一方で2018年には、その年を象徴するような話題を集めた新業態はなかったという。ただ、ステーキや焼肉など肉料理を扱う業態は相変わらず根強い人気が見られる。

「焼肉では、ダイニングイノベーションが、1人に1台のロースターを用意し “焼肉ファストフード店”を掲げる『焼肉ライク』を出店しました。ステーキでは、“俺のシリーズ”を展開している俺のが、『俺のGrill&Bakery』を出しています。

ただし、ステーキ業態は『いきなり!ステーキ』が一気に出店し、400店舗以上となった今、業態開発のタイミングとしては少し遅いのかもしれません。というのも、何かが流行った時に後追いで参入するケースは元々本業ではない企業であることが多く、業態開発が難しいのです。例えば、これまで取引のなかった企業から食材を仕入れるとなれば、品質や価格などのメリットは出にくいでしょう。味作りやオペレーションのノウハウがない中で収益を上げていくのは難しい面があります」

2018年注目の業態は、「チーズ」と「ホルモン」

出店規模は大きくはないが、2018年はチーズを前面に打ち出した新業態が出てきた。チーズ&イタリアンの『イタリアンダイニング レ・アミーケ』、チーズ&肉の『東京ミートチーズ工場』、チーズ&ピザの『GOOD CHEESE GOOD PIZZA』、チーズ&ラーメンの『太陽のトマト麺withチーズ』などだ。

「チーズ×○○という業態が目立ちますね。チーズは小売での扱いも増えていますし、日本・EU経済連携協定(EPU)の関税撤廃により輸入が今後増える傾向にあります。そのチーズに自分たちの得意な業態を掛け合わせているんですね」

もう1つ注目すべき業態は、ホルモン専門店。2017年は出店がなかったが、2018年はワタミが展開する『大衆焼肉ホルモン もつりき』と、せいごの『鉄板ホルモンせいご』が、それぞれ出店している。

「今、ホルモンではドリーマーズが運営する『串屋横丁』というホルモン専門店が伸びています。そこに商機を見出した企業が、出店しているように思います。ただ、こちらはチーズと違い、ホルモン自体の生産量が増えたわけではありませんので、売れている業態の波に乗っている可能性は高いですね。ホルモンは処理や串打ちが難しいので、かつてのもつ鍋ブーム同様に、一気に広がって意外と早めに収束し、本物だけが残ることになると思います」

気になるトレンドの行方

マーケットを新たに生み出すほどのインパクトのある新業態が見られなかった1年。それでも新業態開発は、飲食業においては常に取り組むべき課題である。では、これから新業態を開発する上で、どのようなトレンドが考えられるのか原氏に伺った。

「注目しているのは、小規模フォーマットの居酒屋業態の伸長と、高付加価値業態への転換です。

大手居酒屋チェーンは、席数が80~100席ある大型店を運営しています。効率化のために導入を進めているテーブルオーダーシステムなどは初期投資だけで数千万以上かかる場合があります。一方で新興居酒屋チェーンの場合、席数が30~40席と小さなフォーマットのため、初期投資も2000万ほどと比較的安価に出店できます。この流れで成功しているのが、NATTY SWANKYが運営する『肉汁餃子製作所ダンダダン酒場』ですね。

また、高付加価値業態への転換では、回転寿司を展開してきた銚子丸が、寿司のコース料理を提供する『鮨YASUKE』を出店しています。客単価を上げてきているんですね。高付加価値路線の背景には、日本のフードサービス産業が値上げできずにいる状況が考えられます」

その根拠として原氏が上げるのが、いわゆる“ビッグマック指数”だ。

「マクドナルドのビッグマックは世界中どこでもほぼ同じスペック、サイズで販売しているため、この指数を見れば各国の価格差を見ることができます。アメリカのビッグマックが1個5.28ドルに対して、日本は3.43ドルです。これはつまり、日本のフードサービス産業は、値上げができておらず、十分な利益が取れていないということです」

店舗賃料やアルバイトの時給、食材原価も上がる中、値上げはどの企業にとっても頭の痛い問題である。付加価値を高めることで客単価の高い業態を作り出すのも1つの方法と言えるだろう。

最後に原氏はあえて厳しい見方としながら、こう話してくれた。

「業態開発にはお金がかかります。規模によっては数千万円の費用がかかっているはずです。時間と費用をかけて新業態を作るのか、既存業態に資金を投入して収益性アップや効率化を計り売上を伸ばすのか、しっかりと見極める必要があるでしょう」

数は少ないとはいえ、『とんかつ大學』のリンガーハット、『柿安 奇跡の親子丼』の柿安本店など、5店舗運営し着実に多店舗展開への足がかりを掴んでいる企業もある。自社の強みをどう新業態に繋げるのか、はたまた足元を固めるべく既存業態へ投資するのか。今回掲載した新業態の一覧をじっくりと読み解きながら、自社の売上増に生かしてほしい。


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