未来の飲食店

レジよさらば。キャッシュレス化が飲食店の価値を上げる理由

2019年06月28日

レジには常に釣銭を用意しなければならず、新人スタッフにはレジ打ちのトレーニングも必要だ。営業が終われば毎日、1円単位の間違いもなく数え、夜間金庫に預けにいかなければならない。アルバイトに任せるわけにいかず、レジ締めのためだけに残業する社員もいるだろう。万が一金額が合わなければアルバイトは不正を疑われ、互いに疑心暗鬼を生じる。

飲食店の会計でクレジットカード決済する利用客

消費者の立場でも、会計しようと思ったら店員がいない、あるいはレジに行列ができているといった光景はストレスだ。支払で細かい小銭をさがすのも、釣銭を受け取って財布がかさばるのも面倒だろう。キャッシュレス化が進めば、これらの課題はすべて解消される。

「オールキャッシュレスが当たり前で、通常のレジには現金はなくなれば、会計処理は圧倒的に楽になるでしょう。現金は、何かあった時のために金庫かどこかに少しあるという状態です。レジ業務の効率化は、お客にとっても店舗にとってもメリットとなります」

だが、現在の飲食業界では、決済手段が現金のみというところが少なくない。特に小規模の飲食店では、電子決済が行えないところがほとんどではないだろうか。

「キャッシュレス決済の約9割がクレジットカードという現状では、カード決済のたびに発生する加盟店手数料が導入の壁になっています。また、『月末締め、翌月末払い』といった支払いサイクルによる資金繰りの難しさ、決済手段ごとに異なる端末の導入コストといった負担もあるでしょう。

しかし、新たに広がりつつある決済手段の多くは、クレジットカードと違って決済代行の仕組みを通しません。利用者の銀行口座と店舗の口座が直結したリアルタイム性の高い取引です。『○○ペイ』などのサービス名で乱立気味のコード決済ですが、複数の電子マネーやクレジットカードなどにも対応したオールインワンの読取端末も登場しています」

■現状の主なキャッシュレス支払手段の例

 プリペイド
(前払い)
リアルタイムペイ
(即時払い)
ポストペイ
(後払い)
主なサービス例 電子マネー (交通系、流通系) デビットカード (銀行系、国際ブランド系) モバイルウォレット (QRコード、NFC等) ※プリペイ、ポストペイ可能 クレジットカード (磁気カード、ICカード)
特徴 利用金額を事前にチャージ リアルタイム取引 リアルタイム取引 後払い、与信機能
加盟店への支払いサイクル 月2回など 月2回など 即日、翌日、月2回など様々 月2回など
主な支払い方法 タッチ式(非接触) スライド式(磁気) 読み込み式(IC) カメラ/スキャナ読込 (QRコード、バーコード) タッチ式(非接触) スライド式(磁気) 読み込み式(IC)

(出典)経済産業省『キャッシュレス・ビジョン』検討会事務局資料(第五回)(平成30年4月)

2019年10月の消費税率引き上げに伴い、政府はキャッシュレス決済にはポイント還元等の支援を表明※している。特に中小企業向けには導入推進の補助事業も行っており、決済端末の導入やシステム利用料などは基本的に負担が発生しない。キャッシュレスの決済比率を引き上げたい政府の後押しで、キャッシュレス化は今後加速していくとみられている。キャッシュレスに馴染のある訪日観光客の増加も、追い風になるだろう。

※2019年10月から9ヶ月間、期間限定で実施予定

キャッシュレス化は、お客の飲食体験を高める

2017年11月、ロイヤルホールディングスが東京の馬喰町にオープンさせた実験店、『ギャザリングテーブルパントリー』。IT技術を駆使して生産性の向上を目指しており、決済手段がクレジットカードか電子マネーのみという「完全キャッシュレスの店」として話題を呼んだ。今後は同様の店舗が増えていくのだろうか。丸山氏は、様々な先端テクノロジーと紐づいた「新しいキャッシュレスの形の飲食店」が生まれるとみている。


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