飲食店のインバウンド対策

外国人観光客には翻訳ツールでの接客・キャッシュレス決済が有効~飲食店のインバウンド対策(後編)

2019年08月14日

(3)決済~キャッシュレス対応は必須

日本では、今まさにキャッシュレス化に向けた取り組みが進んでいるが、中国や韓国ではすでに現金を持たない買い物が定着している。スマホ決済が日常的で、もはや現金決済のお店は不自由さを感じ、入店を避ける要因にもなっている。集客や顧客満足度を高めるためにも、電子決済の導入は欠かせない。

中国人向けの電子決済では「Alipay」と「WeChat Pay」がメジャーであり、この2つに対応できれば十分だ。日本の電子決済サービス「PayPay」を導入すれば、「Alipay」にも対応できる。その他の国に対しては、クレジットカードに対応していれば問題はない。

(4)Wi-Fi~外国人客のクチコミ機会を増やす

Wi-Fiが使えるかどうかは、外国人観光客に選ばれる店の重要な要素となる。日本人も、海外旅行の際はスマホを使うためにポケットWi-Fiを滞在期間限定で契約することがある。外国人観光客も状況は同じで、通信料を節約したいと考えている。

特に外国人は、日本人以上にSNSを利用するので、その要求度合いは高い。飲食店がWi-Fiを無料で提供すれば、リアルタイムで料理写真を撮影し、自らのコメントとともにSNSにアップしてくれるだろう。国内では、フリーのWi-Fi環境はまだ整っていない。店頭に「Free Wi-Fi」と告知すれば、外国人観光客の目に止まりやすくなる。

(5)その他~サービスをより拡充する

インバウンド対策では、公共サービスや助成金の活用、さらに、多言語での対応ができるスタッフの雇用といったこともぜひ視野に入れてほしい。

たとえば東京都では、無料で翻訳ができる「多言語メニュー作成支援ウェブサイト」を設けている。また、メニュー翻訳などの飲食店のインバウンド対策に助成金を出している自治体もある。

店舗での多言語対応には、外国語大学の学生や留学経験のある人など、外国語を生かした仕事をしたいと考えている人材を雇うのも一策だ。アルバイト募集の際には、1言語できれば時給を若干プラスするといった条件を提示し、積極的に採用してもいいだろう。

また、訪日観光客の中には宗教や文化的な背景から、特定の原材料を使った料理を食べられない人もいるので、注意が必要だ。

気をつけたい食材
イスラム教
豚、動物性の食材全般、アルコール
イスラムの教えでは豚肉だけでなく、豚のエキス、油脂、調味料など、豚由来の成分を含むものは禁忌となる。アルコールも避けるべきとされ、みりんやしょうゆも口にしないことがある。
ヒンドゥー教
牛、豚、魚、卵、生もの、ニンニク、ニラ、ラッキョウ、玉ネギ、アサツキ
聖獣とされる牛の肉は食べない。高位のカースト、社会的地位が高い人ほど肉食を避ける傾向がある。
ベジタリアン
肉、魚介類全般、卵、乳製品、ニンニク、ニラ、ラッキョウ、玉ネギ、アサツキ
一般に「肉や魚などの動物性食品を食べない人」のこと。世界各地にいて、個人ごとに食べないもののルールが異なる。
アレルギー
卵、乳、小麦、落花生、えび、そば、かに
(これら7品目は、特に患者が多く症状が重い)

特定の食品を摂取した後、皮膚や消化器、呼吸器などに異常が起こる。年齢や国籍に関係なく発症する。特に急性重度な症状(アナフィラキシー)の場合は生死に関わるため、119番の救急対応が必要。

 

できることから始めよう

飲食店のインバウンド対策は、一度にすべてを行うことは難しい。しかし、できることから少しずつ始めることで、その効果を実感できるはずだ。

何よりもまずは、外国人観光客を受け入れる姿勢を持ち、ニーズに寄り添うことが大切である。そうすることで徐々にでも外国人観光客が来店すれば、新たな課題が見え、対策の方法も分かってくる。


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株式会社船井総合研究所 フード支援部 部長 上席コンサルタント 二杉明宏氏

株式会社船井総合研究所 フード支援部 部長 城跡コンサルタント 二杉明宏氏同志社大学大学院法学研究科卒業後、2000年、船井総合研究所に入社。飲食業専門コンサルタントとして、10以上の業種で活動。業態開発、新規出店、多店舗展開などを得意とする。ローカルチェーンからナショナルチェーンまで、支援先企業は年商1億~700億円と幅広い。船井総合研究所フードビジネス専門サイト『フードビジネス.COM』

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