未来の飲食店

人材が集まる・育つ・定着する人事改革。飲食店こそHR×テクノロジーの時代へ

2019年08月20日

人材が集まる・育つ・定着する人事改革。飲食店こそHR×テクノロジーの時代へ

飲食店の運営に、人材の募集や採用、育成、シフト作成といったバックオフィス業務の強化は欠かせない。一方、深刻化する人手不足によって飲食業の人事(HR)部門では、正社員やアルバイトを募集してもなかなか集まらない、入社しても長続きしないといった悩みは少なくないだろう。

近年、人事領域のあらゆる業務を先端ITで効率化する「HRテック(※)」が発展している。求人や採用、育成などに関わる課題を解決する新たなサービスが登場し、求職者の応募を3倍に増やす、新人教育を補助して即戦力化する、離職率を改善するなど、様々な課題が解決できるという。人事のIT化は飲食店をどう変えるのか。実際に導入されているHRテックの事例とあわせ、専門家の展望をもとに見てみよう。

※HRテック=HR(ヒューマン・リソース=人事部など)とTech(テクノロジー)を掛け合わせた造語。人事の課題を最先端のITで解決する分野全般を指す。

採用~求人情報をAIが分析し、マッチング率を高める

AI(人工知能)やビッグデータ、クラウドなどのテクノロジーを、採用や育成といった人事領域に活用するHRテック。外食産業では大手企業が一部で導入しつつあるものの、現時点では導入に相当のコストがかかるため、まだ一般的ではない。

一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会副代表理事の加藤茂博氏は、近い将来にはAIによるデータ解析を活用した求人や採用が、中小企業でもっと浸透してくるとみている。

ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 副会長 加藤茂博氏

一般社団法人ピープルアナリティクス&
HRテクノロジー協会
副代表理事 加藤 茂博 氏

「求人検索サイトには膨大なデータの蓄積があり、すでにAIは過去の求職の応募傾向などを学習しています。ある人が、スマートフォンから求人情報を検索したとしましょう。その位置情報や、検索の時間帯、利用する路線などの行動履歴をもとに、その人が求める最適な求人情報をAIが提示するのは、すでに技術的に可能です」

たとえば地図上では隣接してみえる店舗でも別々の沿線にあれば、AIは並べて提案することはない。また、駅近、時給が高いといった単純な好条件から順番に案内するわけでもないという。条件の良い求人は競争率も高いことが多い。忙し過ぎてすぐ辞める人が多いのかもしれない。その求職者にとって、必ずしも最適な応募先とは限らないのだ。

AIが1人ひとりにあわせた最適な求人情報を提案すれば、求職者は合理的かつ効率よく仕事探しができるようになる。見方を変えれば、採用する飲食店は、近隣の複数ある競争相手の中から、自店舗が選ばれる条件を提示しなければならない。特に時給はエリアごとに相場が異なる。加藤氏は、時給の最適価格もAIで自動的にコントロールできる時代になってきているという。

「紙媒体の求人広告とは違い、Web上の求人案内は需要変化にあわせて時給をリアルタイムに変動させて表示できます。もちろん、応募時と面接時で提示された時給が違うとなれば困るので、頻繁な変動は現実的ではありません。

ただ、『エリア相場がこれくらいだから』などと漠然と金額を決めても、仕込みやピークタイムといった実際に人手が必要な時間帯は各店舗で違います。AIを組み合わせれば、必要な時間帯だけ近隣の競合店より時給を高くして募集を出すことも可能になります。データ分析による、店と求職者、互いにとっての最適な条件の提示がマッチング率を高め、応募者数の増加につながるのです」

複数店舗を運営していると、出店エリアによっては募集をすればすぐに集まる店、いつまでも集まらない店がある。各店舗の求人を本部が一括して請け負っている場合、誰をどの店舗へ配置すべきか、担当者まかせになりがちだ。

「人の集まりやすさ、時給の相場、各店舗のピークタイムなど、データに基づいた最適な募集ができれば、求人広告費を抑えて現状の応募状況の2倍、3倍といった採用も可能でしょう。そう遠くない未来、こうした高度な技術も、安い価格で個店でも使えるようになると思います」


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