食の研究所

あのカフェ満席? スマホで見る東京駅ナカの混雑度~グランスタで空席情報サービス「VACAN」が本格始動

漆原 次郎(フリーランス記者)  2019年11月19日

「空き」の時間が多い店にとっては、その「空き」情報を知った利用客が来店してくれれば、売上や回転率は高まるだろう。では、「混雑」が常態となっているような店にとってはどうだろう。「混雑」の表示により、売上や回転率の点で逆の効果が生じるおそれはないのか。河野氏はこう説く。

「利用客からすれば、その混雑を店の前まで行って知るか、店から離れたところで知るかの違いだけだと思います。それに、店舗の混雑は、朝から晩まで続くというよりも、波があるものです。その波を平準化できるという点ではやはり効果的です。これまで、導入で悪化したという事例は聞いていません」

売上や回転率のほかに、企業にとっては「データを得られる」といった利点もある。いつ混雑し、いつ空きが生じるといった傾向をデータから得られれば、タイムサービスの企画などにもつながるだろう。

世界で通用する「混み・空き」情報

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東京駅改札外にも、グランスタ店舗の座席空き状況を
表示する電子看板がある。(写真提供:バカン)

今後、「VACAN」を導入する店舗が増えていけば、さらにグランスタの利便性は向上していくだろう。鉄道会館は「店舗と相談しつつ拡大を検討していきます。また、カフェだけでなく、飲食店や弊社施設内のトイレの混雑情報もご案内できるようにしたいと考えています」(同)と話す。

公共的な空間は、みんなが使う場だ。そこに多くの人が押し寄せれば当然ながら、混む。だが、すぐ近くの空間はうってかわって空いていることもある。そうしたムラが生じるのは、利用する人たちが、その状況を知らないからだ。情報を得られれば、より多くの人が、「自分の場所」を確保しやすくなる。

バカンはこれまで、飲食店や上述のトイレのほか、授乳室、パウダールーム、展望台、会議室、宿泊施設、空港などで「VACAN」のサービスを展開している。来年の東京五輪では、国内外の人という人が、東京や札幌に押し寄せるのは必至だ。

「たくさんの人たちに『便利だね』と言ってもらえるよう、できるだけ多くの場所に導入していただこうとしています。日本だけでなく、世界中どこでもこの『VACAN』が使われるようになる。それが、われわれのビジョンです」(河野氏)

* サービス内容は、記事配信時点(2019年11月8日)のものです。


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執筆者プロフィール

漆原 次郎(フリーランス記者) 

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。
著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。

<記事提供:食の研究所
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