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飲食店に必須のWeb受発注システム機能まとめ~サービスの比較ポイント・選び方を解説

2020年02月05日

飲食店に必須のWeb受発注システム機能まとめ~サービスの比較ポイント・選び方を解説

働き方改革関連法案の施行で、従業員の業務負担の軽減や業務効率化がこれまで以上に重要になるだろう。食材などの仕入れ業務がWeb上で完結する発注システムは、日々の作業時間を短縮する。それだけでなく、FAXや電話注文では把握が難しかった原価計算を容易にし、キャッシュフローの素早い把握から利益アップの対策を打つことも可能だ。

現在はスマホやタブレットなどのモバイル(携帯端末)に対応したものや、POSや会計ソフトと自動連動するもの、クラウド型で安価なものなどさまざまなサービスが登場し、中小規模の飲食店でも導入しやすくなっている。いくつもある製品を比較検討する際、これからWeb受発注システムを導入する飲食店が押さえておきたいポイントはどこだろうか。価格や提供サービスが多岐にわたる発注システムの、主な機能とその効果を紹介する。

小規模店舗でも効果を発揮するWeb受発注

ITの発展で発注システムは、ひと昔前のように多大なコストをかけて構築する、大規模飲食店向けのツールではなくなった。発注をシステム化した外食企業の約50%は、導入時の店舗数が5店舗以下というデータもある。※
※『BtoBプラットフォーム 受発注』利用企業の導入時店舗数より(2010年1月~2017年12月の契約企業)

発注システム導入の最も大きなメリットが、発注業務の効率化であるのはいうまでもない。電話での「言った・言わない」といったトラブルや、FAXの誤送信や不達といった注文ミスはなくなる。また、大量の伝票処理が不要になり、現場は転記ミスや紛失のリスクから解放される。働き方改革が本格化する昨今、従業員の作業負担を軽減するのは経営陣の務めだ。

メリットはそれだけではない。ペーパーレス化で紙の保管コストも削減できるほか、複数店舗の取引状況を一元管理できるシステムであれば、不正防止や素早い原価計算が可能だ。月次損益が一目でわかり、早期にキャッシュフローを把握できるだろう。

Web受発注システムのさまざまな機能で、店舗のオペレーション改善に必要なもの、本部の経営判断に欠かせないものをそれぞれ見ていこう。

店舗に必須! オペレーションを改善する機能

実際に日々の発注を行う店舗の社員、アルバイトにとって使いやすいかどうかは、何より大事なポイントだ。ひとつの目安となるのが、入力欄の数である。入力欄とは、仕入れ品の数量、納品日など、発注に関する最低限必要な情報を入れる項目だ。必要な仕入れ品を選ぶだけ、発注数量を入力するだけといった、誰にでもわかりやすい画面や操作性が求められる。

■モバイル発注

スタッフによっては、パソコンには馴染みがないがスマホやタブレットなら直感的に操作できる、という場合もあるだろう。また、モバイル端末であれば食材を保管している棚や冷蔵庫のストック状況を見ながらその場で発注できる。店舗にいなくても発注できるので、もし発注忘れに気づいても24時間どこからでも追加発注が可能だ。

■検品用の納品伝票を出力

食品衛生法の改正※により、仕入れ品の納入時に、衛生管理計画に基づいて食材受け入れ時の記録を残さねばならない。納品予定の商品をベースに、チェック項目つきの検品表(検収記録簿)がボタンひとつで簡単に印刷できる機能はぜひ欲しい。
※2021年6月までに、すべての食品等事業者に「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が求められる。

■複数業者への一括発注

電話やFAXでは仕入れ先1件ごとに発注する必要があった。1度の発注で複数の仕入先へ一括発注する、アマゾンや楽天のような仕組みのクラウド型システムなら、作業時間が大幅に短縮できる。

■仕入れ品のグループ化

仕入れ品を食材・資材の種類や棚(キッチン冷蔵庫、ホール冷蔵庫など)、用途(ランチ用、フェア用など)で分類できれば、さらに効率のよい発注ができるだろう。取引履歴のデータをもとに、発注頻度が高い食材や仕入先を優先表示する発注システムもある。

あると便利な店舗向け機能

■棚卸機能

エクセルなどで在庫のカウント表を作成する場合、青果や鮮魚などの価格変動が激しい商品の単価、グラムといった単位の更新が煩雑になる。棚卸機能があるシステムなら、日々の発注データに基づき、仕入れた数量が算出され、自動で棚卸高が計算されるので効率よく作業を進めることができる。現場の業務負担軽減だけでなく、本部にとっても、精度の高い月次損益情報をスピーディに把握できるメリットがある。

■Web / Fax 選べる発注方式

仕入れ先の中には、パソコンが使えない、ネット環境のないところも少なくないだろう。発注システムによっては、発注時にネット環境のない仕入れ先に自動でFAX送信を行う機能もある。取引業者に負担をかけることなく、システム導入が可能だ。

■献立ソフトからそのまま発注

病院給食などは、栄養管理や食数管理のために献立ソフトを使っている場合がある。ソフトで作成した発注データを取り込み、複数仕入先へ一括で発注できる機能があれば入力は1度ですむ。

本部に必須! 経理・分析機能

飲食店向けの発注システムは、仕入れ品の原価を自動計算するだけでなく、ほかのシステムと発注データを連動させて様々な分析に活用できるものがある。例えばPOSレジの売上データと連動すればメニューのABC分析も容易に行えるので、メニューや仕入れ品の見直しが根拠をもって行える。勤怠システムや販売管理システムと連携できれば、FLコストの自動算出も実現する。他システムと連携できる高い拡張性は、製品選びの大きなポイントになるだろう。

■原価の自動計算・締め処理

飲食店のコストの中で、食材原価は大きな割合を占める。当月の売上に対して利益が出ているかどうかをすぐ知るため、原価の自動計算は重要な機能だ。

さらに、仕入れ品、仕入れ先、店舗ごとの仕入れ数量も画面から一目で把握したい。店舗数が増えるにつれ現場任せになりがちな発注状況を本部がまとめて管理すれば、スケールメリットを活かした仕入れが可能だ。すべての取引履歴を蓄積して画面上で共有するため、万が一、不正が疑われる取引があっても早期に気づけるだろう。

■販売管理・会計ソフトとの連携

CSVデータなどで販売管理システムや会計ソフトと連携できれば、人手を介さないため入力ミスなく、照合作業も不要になる。経理処理が早まり、正確なキャッシュフローの把握がすぐできる。

これまで月末に締めた取引の請求書がすべて揃う翌月半ばまでわからなかった実際の原価も日次で管理できる。理論原価額と実際原価額のブレに早期に気づけば、メニューの出数の調整や発注の見直しといった対策で立て直せるだろう。

■仕入先と取引内容をリアルタイムに共有

仕入先と同じデータを共有できるクラウド型の発注システムなら、発注金額と仕入先からの請求金額が常に一致する。このため、双方で金額や注文内容が合わず確認に追われるといった手間もなくなる。また、仕入先が商品の基本情報(商品マスタ)を登録する仕組みであれば、商品改廃のたびに店舗側で情報を変更する必要はなくなる。

■電子帳簿保存法に対応

電子帳簿保存法に対応したサービスなら、税法上7年の保管が必要な請求書、納品書等の伝票類をデータで保存可能だ。保管スペースや廃棄の際のコストが削減できる。取引がクラウド上で完結する電子取引で要件を満たせば、税務署への申請も不要だ。なお、2023年10月からはじまる適格請求書保存方式(インボイス制度)では仕入額に関わらず、帳簿への記載と証憑類の保存がなければ消費税の仕入税額控が認められない見込みだ。対策は早めにしておきたい。

あると便利な本部向け機能

■アレルギー・原産国など食材の情報管理

飲食店であれば、消費者から食材に何が使われているか、問い合わせを受けることもあるだろう。外食にアレルギー表示は義務付けられていないため、対応は店舗ごとに様々だが、食材の正確な情報管理は顧客の命に関わる飲食店の使命だ。食品のアレルギーや原料産地などの情報をまとめた「商品規格書」のデータが仕入れ品と紐づいていれば、どのメニューに何が入っているか、正しく答えられる。

■FC契約店の発注機能

フランチャイズチェーン展開を考えているなら、FCオーナー・FC店舗に対する商品販売価格の設定ができるとよい。FC価格の設定を、オーナー単位や商品単位で行え、差益の帳票管理もできれば効率的なFC運営が実現する。

「何をしたいか」で発注システムの比較を

実際の発注システムの比較検討は機能面だけでなく、サポート体制や料金体系なども判断材料になるだろう。肝心なのは、システム導入で何がしたいのか、何を実現するために検討しているのかを常に念頭に置くことだ。

アナログからデジタルへの移行によって、これまでなんとなく予想するしかなかった数字が可視化できる。このデータをいかに活用するかが、本来の意味でのIT化ともいえる。データをどう活かすかに思いを巡らせていけば、必要なサービスが絞られていくだろう。


BtoBプラットフォーム受発注

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