イマドキIT事情

クラウド利用で作業時間短縮。中小の外食・食品事業者が働き方改革を進める~全国中小企業クラウド実践大賞

2020年02月19日

クラウド利用で作業時間短縮。外食・食品事業者の働き方改革に向けた取り組み~全国中小企業クラウド実践大賞

働き手の不足が深刻化する近年、作業効率化や生産性向上につながると、さまざま分野で活用が広がっているクラウドサービス。同じデータを複数のユーザーがリアルタイムで共有するため、紙の書類に比べ、正確性や安全性が担保される。また、パソコンやモバイル端末からいつでもアクセスでき、リモートワークも可能になることで働き方改革の取り組みとしても導入する企業が増えつつある。

クラウドは自社でシステムを構築したりメンテナンスしたりする必要がなく、低コストで導入できるため、中小規模の企業でも取り入れやすい。2020年2月に全国大会が開催された「全国中小企業クラウド実践大賞(主催:クラウド実践大賞実行委員会)」では、クラウドを実際の業務に活用している中小企業のさまざまな取り組みを垣間見ることができる。ノミネート企業の中から、外食や食品製造業、卸売業が課題解決した例を紹介する。

飲食業

株式会社マルハンダイニング(東京都江東区)

業種:宿泊業・飲食サービス業(パチンコホールに併設している飲食店)
従業員数:170名 

課題:紙の書類では情報収集に手間がかかり、アレルゲン情報も把握できない。

クラウド導入効果:アレルゲン管理により従業員満足度が向上し、食の安全に対する意識も高まった。

活用内容:仕入れ食材のアレルゲン情報をデータ管理できるクラウドサービスを導入。紙で情報を収集していた時と同じマンパワーで効率的な情報収集が可能に。全国300店舗で、食品アレルギーのある社員にも安心・安全な“まかない”を提供できるようなった。取引先からは、食の安全に対する社内意識が高まったとの声が届いている。

赤玉株式会社株式会社(石川県金沢市)

業種:卸売業・小売業(飲食業)
従業員数:30名 

課題:増加する外国人観光客への商品説明に時間をとられ、業務効率がダウンしていた。 

クラウド導入効果:多言語対応のWEBサイトとメニューで、売上が約2割アップ。 

活用内容:クラウドサービスを使ってWEBサイトを多言語化。事前に提供商品やサービスを英語で説明。メニューにもナンバリングすることで円滑な接客対応が可能に。従業員の負担を減らしながら、地元名物の金澤おでんとおもてなしを世界に発信している。

食品卸売業

株式会社増田禎司商店(東京都八王子市)

業種:卸売業・小売業(メディカル給食)
従業員数:130名 

課題:基幹システムへの手入力で手間やミスが生じ、請求内容の確認に時間がかかった。 

クラウド導入効果:受注の入力作業がなくなり、従業員の負担が大幅に軽減。 

活用内容:莫大な費用をかけて自社でシステム構築する必要のないクラウドサービスで、企業間取引のデータ化、ペーパーレス化を実現。自社とメーカー、得意先との間に生じていた請求金額の訂正や内容の確認といった照合作業が効率的に。電話やFAXでの受発注が主流の業界でクラウドサービスのメリットを伝えながら、顧客へクラウド化の支援を行っている。

株式会社名畑(大阪府大阪市)

業種:卸売業・小売業(業務用酒販卸)
従業員数:90名 

課題:手書きの指示書の確認作業に時間をとられ、FAX受注を処理するための外注コストが増加していた。 

クラウド導入効果:受注企業・発注企業の双方が、正確かつリアルタイムな情報確認を実現。 

活用内容:全国各地から届く大量のFAXをクラウドサービスで見える化・データ化。受注データの取得から出荷完了報告までボタン操作で完了。紙の山から解放され、受注ミスもなくなっている。外注を廃止してコストダウンにもつながった。

株式会社ナカヱ(和歌山県印南市)

業種:卸売業・小売業(飲料品卸)
従業員数:18名 

課題:エクセルで作成したファイルのデータが有効活用できず、生産性が著しく低かった。 

クラウド導入効果:受注管理が効率化しコスト削減、生産性もアップ。 

活用内容:社内外のコミュニケーションの円滑化、活性化を目的にクラウドサービスを導入。システム上のファイルやデータを有効活用し、新たにリモートワークスタッフの採用や、常勤スタッフのリモートワークも実現。居住地域の制限なしに優秀な人材を採用でき、社内の人材育成・採用を強化することができた。

資材卸売業

株式会社はし藤本店(東京都台東区)

業種:卸売業・小売業(箸製造・販売)
従業員数:10名 

課題:顧客数の増加による受注業務の負担増大 

クラウド導入効果:外出先からでも受注情報が確認可能になり、リモートワークが実現。 

活用内容:電話、FAX、メールのほか、LINEや紙による受注業務をクラウド化。営業担当からの注文情報を共有、可視化することで確認作業が大幅に短縮された。全社一丸となってクラウド化を推進し、受注業務の属人化が是正。売り手・買い手双方で共通の課題である人為的なミスをなくすことができた。

日硝実業株式会社(大阪府大阪市)

業種:卸売業・小売業(食品容器包装資材の販売)
従業員数:60名 

課題:事業範囲を拡大させたいが、現状のマンパワー頼みでは限界がある。 

クラウド導入効果:取引先の商品企画の可能性が察知でき、案件化率も向上した。 

活用内容:マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入して、メールマガジンの配信や企業サイトのリニューアルを実施。顧客の企業サイトへの訪問頻度や閲覧ページが把握できるように。メールマガジンで直接的な情報発信が可能となり、反応も確認できるようになった。

食品製造業

天狗缶詰株式会社(愛知県名古屋市)

業種:製造業(食品缶詰等製造)
従業員数:285名 

課題:約1000種類の製品情報をエクセルで作成していたが、改訂の管理が不十分だった。 

クラウド導入効果:複雑化する取引先への情報提供が短時間で可能になった。 

活用内容:品質管理の担当部署でクラウドを活用し製品情報を整理。間違いがあってはならない製品・品質情報を正確に管理できるようになった。食品表示法改正にともなう更新作業も簡単なクリック操作で一括入力。転記ミスもなく、作業時間は導入前に比べ年間200時間相当を削減した。

株式会社ノムラフーズ(京都府京都市)

業種:製造業(冷凍食品/冷凍おせちの製造・販売)
従業員数:120名 

課題:3ヶ月に一度必要な原材料確認は、原材料が変わるたびに多大な手間が発生。 

クラウド導入効果:作業時間の短縮で残業がなくなり、離職率ゼロ%を維持。 

活用内容:エクセルで管理していた商品情報を、品質管理室と商品開発営業部の連携でクラウド化。クラウド上で原材料情報を管理することで、情報を更新すると同じ原材料を使っている規格書の一括更新が可能に。取り扱う約800アイテムに必要な原材料3000品あまりの情報提供もスピーディに行えるようになった。

中小規模の企業がクラウド活用にとりくむべき理由

「全国中小企業クラウド実践大賞」全国大会は2020年2月12日に東京・東商グランドホールで開催。ノミネートされた企業の中から、特に優れた取り組みに総務大臣賞や日本商工会議所会頭賞などが贈られた。

 都市圏の大手企業に比べ、地方の中小企業はクラウド活用が遅れているといわれる。だが、資金力や割けるマンパワーに限りがある中小企業だからこそ、経営にクラウドを取り入れるメリットは大きいともいえるだろう。

クラウド導入を検討している企業はぜひ成功事例を参考に、収益力向上・経営効率化の動機付けの一助としてほしい。


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