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50年間でこれだけ増えた30代男性の必要エネルギー~「日本人の食事摂取基準」、5年ぶりの改定

漆原 次郎(フリーランス記者)  2020年04月30日

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私たちは健康や病気予防のために、エネルギー・栄養素をどう摂るべきなのか。どんな栄養素が過剰摂取気味、あるいは不足気味なのか。

それらを考える指標となる「日本人の食事摂取基準」が、4月に改定される。そこで改定の機会に、「基準」の中身を見てみることにしたい。働きざかりの30歳代を題材とした。

5年おきに改定

「日本人の食事摂取基準」は、厚生労働省が5年おきに改定し、公表するもの。「健康な個人並びに集団を対象として、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防のために参照するエネルギー及び栄養素の摂取量の基準」という位置づけだ。

 必要な栄養素の量などを示した基準は、日本でも明治時代から作られていた。その歩みの中で1969(昭和44)年に厚生省(いまの厚生労働省)が「日本人の栄養所要量」を策定した。これが、5年ごとに改定され、名称も変わりながら、いまに至っているのだ。

1日の必要エネルギー量、30代男女とも50kcalアップ

この4月から2024年度末まで使われる「日本人の食事摂取基準」を中心に、摂取量の変遷を見てみる。改定の前後で数値が劇的に変化することはほとんどないが、長い視点で捉えると移り変わりに気づく。

1日あたりに必要とするエネルギーの量は、1970年度から徐々に高まっている。特に男性の上がり方は顕著で、1970年度の2400kcalからすると、2020年度は300kcalも高まることになる。

これは、私たち日本人の体は、体格の変化で昔よりも基本的にエネルギーを浪費するようになったため、その分エネルギーをより多く摂取する必要性が生じているのだと捉えられる。

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1日あたりエネルギー所要量・推定必要量。2004年度までは所要量。2005年度以降は推定必要量。各年度の数値は次の資料を参考とし、筆者がグラフ作成(以降のグラフも同様)。1970-74年度:福場博保「栄養所要量の策定について」、1975-79年度:福場「改訂日本人の栄養所要量について」、1980-84年度:福場「昭和54年改定『日本人の栄養所要量』」、1985-89年度:福場「第3次改定『日本人の栄養所要量』について」、1990-94年度:原正俊「第4次改定日本人の栄養所要量の概要」、1995-99年度:原「第五次改定 日本人の栄養所要量」、2000-04年度:厚生労働省「第6次改定日本人の栄養所要量について」、2005-09年度:厚生労働省「日本人の食事摂取基準について」、2010-14年度:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2010年版)」、2015-19年度:厚生労働省「『日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会』報告書」、2020-24年度:厚生労働省「『日本人の食事摂取基準(2020年版)』策定検討会報告書」。2005年度以降は「活動度合」によるレベル区分が設けられたが、当グラフでは中庸なレベルを採用(以降のグラフも同様)。

執筆者プロフィール

漆原 次郎(フリーランス記者) 

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。
著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。

<記事提供:食の研究所
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