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ISDNデータ通信が2024年に廃止。 POSレジ・EDIシステム利用企業は要注意

2020年12月01日

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2024年に、ISDNのデータ通信が廃止になることをご存知だろうか。ISDNは現在でも企業間のやり取りで利用される回線であるため、廃止による影響は大きい。

特に食品メーカーや飲食店などの食品事業者は、ISDN回線による受発注システム「EDI」を利用することも多く、今後に向けて対策を練らなければならない。そこで今回はISDNの概要や回線の調べ方、移行にともなう対応策などについて解説する。

なぜ終了?ISDNが2024年に廃止する背景と受発注業務への影響

ISDNは固定電話やインターネット回線事業を展開するNTTが提供しているサービスだ。デジタル回線を利用することでデータ通信やインターネット接続などを実現したもので、現在でも、一部の企業やデータ通信システムなどで利用されている。

しかしこの通信サービスは、2024年に終了することが決まっている。その原因として挙げられるのが、
・ISDNよりも通信速度の速い光回線やCATVの普及
・回線設備の老朽化
などだ。

そもそもISDNは通信サービスだけでなく、固定電話回線としても一般家庭や企業などに広く普及していた。だが中継交換機や信号交換機などの設備の老朽化により、インフラ維持が限界に近づいている。

そこでNTTは、これまでの公衆交換電話網をIP網とルーター機器に置き換えることでISDNの固定電話サービスを継続させる方針を打ち出した。この設備の切り替えと同時に、ISDNの通信サービス(INS「ディジタル通信モード」)が終了となる。

これにより、ISDN回線を利用していた様々なデータ通信機器やそれを利用する飲食店などに影響を及ぼすことは確実だ。では具体的にどんな影響があるのか見ていこう。

外食、食品卸、食品メーカー、小売業への影響

企業の中には、ISDNデータ通信機器を導入しているところも数多く存在している。例えば、飲食店や小売業などで利用されているPOSレジ、BtoB間で食材などの受発注をするEDIシステムなどだ。

これらの専用端末では、ISDN回線によるデータ通信を使っているものが多い。もしそのまま利用し続けていると、会計の集計データが反映されなくなり商品の発注ができなくなるなどの問題が発生する。

企業間でのデータ連携や取引にも深刻な影響を及ぼすため、利益の損失につながる可能性も高いだろう。

ISDN発注を行っている食品事業者は特に注意

今回のISDNデータ通信の終了で、最も注意しなければならないのが食品事業者となるだろう。なぜならスーパーや小売店では、主に発注業務などでISDN回線の専用端末を利用しているケースが大半だからである。

電話やFAXだけを用いて発注する企業もあるだろうが、複数の店舗を運営している場合や、規模の大きい会社などでは、もはや現実的ではない。専用機器による発注を行なっているのであれば、ISDN通信かどうかを確認したほうがよいだろう。

昔からEDIやPOSなどのシステムを導入していたことで、自社がISDN回線を使っていることを把握していない企業も多い。前述の通り、対応が遅れると業務や店舗の運営に支障をきたすため、早めに気づいて対策を実施するのが望ましい。

2024年までまだ時間があるのに急ぐべき理由とは?

2024年まで、まだかなり期間的な余裕があると思われがちだが、システムの移行については早めに済ませておいたほうがよい。なぜなら通信サービスの終了間近になると、混雑になることが予想されるからだ。

データ通信などのシステムを切り替える作業には、少なくない時間がかかる。例えば業務に支障が出ないよう新たなシステムでのテストや従業員への教育、新たな業務体制の構築などを実施することになるだろう。

特にEDIなどの発注システムを移行する場合、取引先と切り替えるタイミングを相談する必要もある。ただでさえ取り組む内容が多いのに、混雑によって切り替えタイミングがずれ込むと、さらなる調整が求められるはずだ。

NTTでは切り替えが間に合わない場合、2027年頃までは「INSネットの代替えサービスを提供する」との方針を示しているが、この回線はこれまでのISDNデータ通信と異なり、通信速度や安定性は保証されていない。発注業務の遅れは結果として大きな利益の損失につながる可能性があるため、早めの移行準備や対策を進めるべきだろう。

ISDN回線の調べ方

NTTが提供しているISDN通信サービスは、「ISNネット」の名称で展開されているものだ。「INSネット64」「INSネット64・ライト」「INSネット1500」と、いくつかのプランが用意されている。

この「INSネット」を利用している企業も利用するモードまで把握していない企業も多いのではないだろうか。特に昔からISDN回線を使っている企業だと、人材の異動や退任などで導入に携わった人がすでに会社から退いていることもあるからだ。

2024年1月以降廃止になるのは「ディジタル通信モード」(パソコン通信・FAZのG4規格)のみであり、「通話モード」(電話・FAXに利用のG3規格)は2024年1月以降も問題なく利用できる。しかし、よくわからないままISDN回線を使い続ける事態に陥らないためにも、ISDNとはどういうものなのか、回線の調べ方などについて詳しく解説する。

ISDNとは

ISDNとは、デジタル信号(0と1に変換したデータ)によって通信を可能にしたデジタル回線のこと。音声データをそのまま送るアナログ回線とは異なり、高速で安定したデータの送受信ができる。

音声をデジタル化して送るので品質が劣化せず、距離に関係なくクリアな音声を伝えられるなどのメリットもある。またひとつの電話番号で2つまでの回線を利用できるため、インターネットや電話、FAXなどの機器を同時に使える。

一時期は一般家庭や企業に広く普及していたが、より通信速度が速く電話やインターネットを並行して使える「ADSL」や「光回線」などの上位互換が出てきたことで利用者が減少。現在では通信の安定性の高さから、主に企業間のやり取りといった特定分野のみの用途となっている。

電話回線の調べ方

自社がISDNの電話回線を利用しているかは、いくつかの方法で確認することが可能だ。わざわざNTTに問い合わせる必要もないので、知っておくとスムーズに把握できる。では、具体的にどんな方法があるのか見ていこう。

電話料金の明細書を確認

NTTのISDN通信サービス「INSネット」は利用料金がかかるため、毎月送られてくるNTT西日本またはNTT東日本の明細書にて確認できる。明細書の中に「INS通信料」という項目があれば、ISDNの回線を利用していることが分かるだろう。

似たような項目に「INS通話料」もあるが、こちらは固定電話での利用料金で、インターネットや専用機器によるデータ通信とは別物だ。間違えないように注意したい。 

そして普段使いせずにバックアップなどの用途で使っている場合、明細書に記載されないケースもある。より確実にISDN回線を確認するなら、接続機器を調べるかNTTに問い合わせるなどの対応が必要だ。

接続機器の確認

ISDN回線は電話機やパソコンなどとケーブルでつなぐ際に、
・DSU(ディジタルサービスユニット)
・TA(ターミナルアダプター)
という機器を通す必要がある。

DSUとは、INSネット回線を利用する際に必要となるデジタル信号の処理装置、つまりADSLや光回線でいうモデムのような機器だ。TAとは電話機やパソコンとDSUをつなぐ中継器、つまりは有線やWi-Fiルーターのような役割をもつ機器となる。

そして現在設置されている機器に、DSUやTAまたはISDNという記載があれば「INSネット」を利用しているはずだ。機器自体に明記されていなければ、取扱説明書を見ることで確認できるだろう。

FAXはどうなるのか

前述の通り廃止になるのは、INSネット「ディジタル通信モード」のみのため、現在普及している『G3規格』FAXについてはこれまで通り利用し続けることができる。

ただし、『G4規格』のFAXはISDNの「ディジタル通信モード」を使用しているため、2024年に廃止の対象となる。使用していているFAXの規格についてはFAX機器メーカー等に確認するとよいだろう。

2024年ISDN廃止に伴う対応策

企業によってはISDN回線の廃止に伴い、新たな回線の契約や移行などが必要になる。特にBtoB間でのやり取りになると、セキュリティ面や回線速度の安定性が重要になり、通常のインターネット回線では不安な部分も多い。

そこで、いくつかの通信手段への移行が代替案として挙げられる。中でも最も簡単な方法は、NTTがIP網の切り替わりに伴って用意した「メタルIP電話」。これはIP網から変換装置を通すことで、これまでの電話回線を維持できる手段だ。

現在の方針では「メタルIP電話」の切り替わりに伴う手続きなどは不要らしく、面倒な手間がかからない。しかしこれまでのように安定した回線の保証はないため、企業間のデータ通信には向かないだろう。

そのため、インターネット回線の専用線やVPN(仮想専用線)などの通信手段がおすすめだ。特にVPNでは、高い回線品質が保証された「IP-VPN」、高品質かつ様々なプロトコルに対応した「広域イーサネット」などの種類がある。

セキュリティ面や回線速度の安定性が重要なBtoB間のやり取りなら、これらの通信手段を検討してみてはどうだろうか。

これからのEDIに相応しい選び方の基準

ISDNの廃止で対応しなければならないのは、なにも通信回線だけではない。企業間の受発注で活用される「EDI」についても、ISDN回線を利用しているツールが多いため、移行を検討する必要がある。

そしてIT化が進むこれからの時代では、インターネットと相性の良いEDIを選ぶことが重要になるだろう。まず基本的な部分としては、インターネット回線を利用できるか、自社の業界に対応したデータ交換の手順であるかだ。

EDIは銀行や流通などの業界毎に、データ交換の手順が定められている。例えば全銀BSCや流通JCA、FTPやSMTPなどが挙げられる。業界によってこれらの種類は異なるため、導入する際には確認する必要があるだろう。

また「クラウド型」のサービスであるかどうかについても事前に確認しておきたい。自社でサーバーや設備などを運用する「オンプレミス型」では、非常にコストがかかり担当者の負担も大きい。しかしクラウド型なら、外部サーバーを利用して費用や人材のリソースを削減できるため、コスト削減につながるのだ。

新たにEDIを導入するのであれば、試験運用として小規模な投資でスタートできるサービスを選ぶこともひとつのポイントとなる。そういった点でも、クラウド型EDIが導入しやすいと言えるだろう。

インターネットEDIへの移行

上記のことから今後EDIの移行や導入を考えるなら、インターネットEDIを利用するのが最適だ。インターネットEDIなら、これまでのISDN回線を使ったEDIと比べて様々なメリットが挙げられる。

まずインターネットEDIは、通信コストが安い。例えばISDN回線では通信速度が最大で64kbpsだが、光回線だと最大で100Mbps〜1Gbpsとなる。これだけ速度の差がありながら料金はISDNが3,500〜5,000円ほど、光回線は4,500〜5,500円ほど(※2020年12月現在調べ)とあまり変わらないのだ。

そしてクラウド型EDIなら、災害時の稼動やデータの自動バックアップなどの利点がある。万が一の事態が起こった際にも、データ保護や運用の維持がある程度保証されているのだ。

また光回線の開通などでプロバイダーとの契約や工事があるものの、インターネットEDI自体は短期間で導入できる点もメリットとなる。同じくEDIの移行を検討している取引先との調整もしやすくなるはずだ。

移行には接続先との調整が必須

EDIを利用して受発注などを実施している場合、自社だけでなく取引先との調整も必須事項となる。なぜならお互いのEDIで互換性がないと、そもそもデータ通信ができないからだ。

複数の取引先がいるなら、ひとつのツールで全ての通信が可能となるEDIを選定したい。もちろん相手の企業側にもいくつかの取引先がいるはずなので、利用するEDIがすぐに決まるとは思わないほうがいい。

それぞれの接続先と何度も相談しながらEDIの移行や日程調整、試験運用などをすることになるだろう。実際の導入までには、かなりの時間を消費してしまうはずだ。つまり、ある程度の余裕をもって移行の準備を進めなければ、2024年のISDN廃止に間に合わない可能性があることも注意しなければならない。

ISDNからの移行には、入念な準備と迅速な対応が必要不可欠

2024年問題に向けて、すでに様々な企業がISDN回線からの移行準備を検討している。なぜなら企業間のデータ通信が途絶えることは、生産ラインのストップや品物の仕入れに大きく影響するからだ。

企業の経営や店舗運営で極めて深刻な問題になりかねないため、慎重かつスムーズな移行が重要となる。特に食品メーカーや飲食店、スーパーなどの小売業では、ISDN回線を利用したEDIで受発注を行っているところも多いはず。

EDIは企業間のデータ通信を担う重要なシステム。だからこそ、自社だけでなく取引先との密な連携も必要になり、移行や導入には大きく時間を削られることとなる。

しかしISDNの廃止による移行は、悪い点ばかりではない。受発注システムの一新で、より効率的な業務を実現できるからだ。最近は飲食店や小売店と食品卸などの受発注に、クラウド上でやりとりできるサービス もあり、利用企業が増えている。ピンチをチャンスに変えるべく、入念な準備と早めの対応でISDNからの移行を企業の利益につなげたい。


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