業界動向

雇用調整助成金の特例措置、11月末まで延長。現在活用できる補助金・助成金まとめ

2021年10月13日

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2021年7月21日、政府は新型コロナウイルス感染症対策のひとつである雇用調整助成金(特例措置)の期限を2021年9月末から2021年11月末まで延長する方針を固めた。

8月6日に厚生労働省が発表した詳細では、主に10月以降に実施予定の最低賃金引き上げによる企業の負担に配慮した条件の緩和がみられた。本記事では、雇用調整助成金をはじめその他の助成金や補助金の中から現在活用できるものを紹介する。

雇用調整助成金とは

雇用調整助成金は、新型コロナウイルスの影響で事業活動を縮小せざるを得なくなった事業主が申請できる助成金のひとつである。対象は全業種で、休業手当を支給して従業員を休ませた場合に適用される。また、雇用を維持するために出向や職業訓練をする場合にも適用される。

通常時の雇用調整助成金で支給される金額の上限は、もともと1日1人8,330円だが、特例措置により1日1人13,500円(条件によっては15,000円)まで引き上げられ、従業員へ払う休業手当等のうち最大10分の9(条件によっては全額)を国が助成することになった。

また、特例措置においては「緊急雇用安定助成金」が一部として実施されている。これにより学生アルバイトなどの雇用保険被保険者なども助成金の受給が可能になった。申請条件は下記のとおりだ。

対象者 ・全業種の事業者
 必須申請条件 ・直近1ヵ月の売上高や生産高などが前年の同月比で5%以上減少したこと
・休業手当を支給して一時的に従業員に休業、出向、職業訓練を行った
助成額の上限  1日1人 13,500円(下記1または2の条件の場合、15,000円)
※1 売上高等の生産指標が最近3ヶ月平均で前年または前前年同期に比べ30%以上減少している企業
※2 緊急事態宣言またはまん延防止等重点措置の区域で、都道府県知事による営業時間短縮等の要請等に協力する企業
 申請方法  都道府県の労働局、ハローワークで受付

10月以降の最低賃金引き上げで、助成金はどう変わる?

2021年10月に実施される最低賃金の引き上げに応じる中小企業を対象に、9月末までと10月以降で助成金の給付要件は大きく分けて2つの点で変更された。

・「雇用調整助成金」の一部給付条件を撤廃
・「業務改善助成金」の拡充

 

具体的には、これまで雇用調整助成金の給付条件の1つに「従業員が休業する延べ日数が所定労働日数の2.5%以上であること」を定めていたが、10月以降は最低賃金の引き上げに協力する中小企業を対象としてこの条件を撤廃する。それに伴い、10月からの3ヵ月間は休業日数を問わず助成金が支給され、助成率は変わらず10分の9以上が維持される。

さらに、2021年7月16日から12月までの間に事業場内最低賃金を30円以上引き上げた企業には「業務改善助成金」も支給する。具体的には、10人以上の従業員の賃金を引き上げた場合、引き上げ額が20円以上で80万円、90円以上で最大600万円が助成される。

歩合給がある場合の雇用調整助成金の助成額算定方法が変更に

厚生労働省から「歩合給がある場合の雇用調整助成金の助成額算定方法が令和3年9月1日以降の休業から変わります」というリーフレットが発行された。対象は、給与に歩合給(出来高払)制が含まれている労働者を休業等させた事業主である。

判定基礎期間の初日が令和3年9月1日以降の休業より、助成額算定に用いる休業手当支払率の算定の方法が変更された。

対象となる事業主 ・給与に歩合給(出来高払)制が含まれている労働者を休業等させた場合
 変更内容 判定基礎期間の初日が令和3年9月1日以降の休業より、助成額算定に用いる休業手当支払率(雇用調整助成金助成額算定書の「(5)休業手当等の支払い率」)を以下の算定方法に変更する。

・【変更前】休業協定書に定めた基本給を含む手当等の支払い率のうち、最も低い支払率を適用。
【変更後】当該月の休業手当支払額の総額÷平均賃金額(※1)×月間休業延日数(※2)
休業手当支払い率は6ヵ月ごとに見直しが行われる。
具体的な算定方法・手続きなど ・判定基礎期間の初日が令和3年9月1日以降の休業について、雇用調整助成金助成額算定書の「(5)休業手当等の支払い率」は、裏面を参考に、上記の変更内容に基づいて算定した率を当該算定書に記入する。

・この見直し月の翌月以降の申請の際は、参考様式の写しを添付する。
また、6カ月経過後の見直しがなされた場合は、その見直し後の参考様式を添付する。

(※1)雇用調整助成金助成額算定書の「(4)平均賃金額」に記載されている額
(※2)雇用調整助成金助成額算定書の「(8)月間休業等延日数」の①と②の合計日数

傷病手当金の適用対象者と申請条件

傷病手当金は、業務以外で発生した災害、事故が原因の疾病や負傷などの療養により被保険者が労務に服することができないときに給付され、新型コロナウイルスに感染した場合にも適用される。

雇用調整助成金の特例措置との大きな違いは、事業主を対象とするか個人を対象とするかだ。傷病手当金は、あくまで被保険者自身が新型コロナウイルスに感染し、働くことができないと判断された際に被保険者に支給される。そのため、例えば新型コロナウイルスの影響で事業所全体が休業して働けなくなった場合には、傷病手当金ではなく雇用調整助成金の特例措置の対象になる可能性が高い。

対象者 ・健康保険の被保険者
必須申請条件 ・業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
・仕事に就けない状態だと判断されること
・連続する3日間を含んで4日以上仕事に就けなかったこと
1日あたりの支給額 ・支給開始日以前の連続した12ヵ月間の各月の標準月額を平均した額÷30×2/3

ただし、支給開始日以前の加入期間が12ヵ月未満の方の支給額は、次のいずれか低い額を使用して計算する。

1.支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均値
2.標準報酬月額の平均値
・28万円:支給開始日が平成31年3月31日までの方
・30万円:支給開始日が平成31年4月1日以降の方

その他、活用できる助成金

新型コロナウイルスの影響で売上高や生産高が減少した事業者が対象の給付金、補助金等を一部まとめて紹介する。

・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

新型コロナウイルス感染症やまん延防止措置などの影響を受けて、休業された労働者で休業手当の支払いを受けられなかった者が対象の給付金である。申請すると、休業前賃金日額の80%を給付金として受け取れる。

対象者 以下の期間に事業主の指示を受けて休業し、休業手当の支払いがなかった日がある労働者

・中小企業で働く方
2020年4月1日~2021年11月30日

・大企業にシフト制で働く方
2020年4月1日~6月30日までの間
2021年1月8日~11月30日までの間
 給付率 休業前賃金日額の80
助成上限額  ・2020年4月1日~2021年4月30日 11,000円
・2021年5月1日~2021年9月30日 9,900円
 申請期間 ・中小企業で働く方
 ・2020年10月~2021年9月の休業 2021年12月31日まで
 ・2021年10月~11月の休業 2022年2月28日まで

・大企業で働く方
 ・2020年4月~2021年6月及び2021年1月8日~9月の休業 2021年12月31日まで
 ・2021年10月~11月の休業 2022年2月28日まで
申請方法 厚生労働省で受付

 

・月次支援金

月次支援金は、主に飲食店の休業、時短要請を受けて売上が減少した事業者に給付される支援金である。

対象者 ①緊急事態措置やまん延防止等重点措置による飲食店の休業、時短営業、外出自粛等の影響を受けていること
②緊急事態宣言やまん延防止措置が実施された月の売上が2019年または2020年の同月と比べて50%以上減少していること
※①②の両方を満たす事業者が対象
 給付額 ・中小法人 20万円/月
・個人事業者 10万円/月
※月ごとの給付上限額
 申請期間 ・8月分 2021年9月1日~10月31日
・9月分 2021年10月1日~11月30日
申請方法 中小企業庁にて受付

 

・事業再構築補助金

ポストコロナ、ウィズコロナの社会変化に対応するために、思い切った事業へ再構築する中小企業を支援する補助金である。具体的には、新分野への展開や業態転換、事業・業種転換、事業再編などで、審査を経て補助金の受給可否が決まる。公募は複数回実施され、2021年10月13日現在、第3回の募集が終了し、あと2回の実施が予定されている。

対象者 中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合など
 必須申請条件 ①新型コロナウイルスの影響で売上が減少していること(規定ある)
②事業の再構築に取り組むこと
③認定経営革新等支援機関と事業計画を策定すること
給付額 ・【中小企業】100万円~8,000万円
・【中堅企業】100万円~8,000万円
 補助率 ・【中小企業】3分の2(6,000万円を超える場合、2分の1)
・【中堅企業】2分の1(4,000万円を超える場合、3分の1)
対象になる経費の例 建物費、技術導入費、機械・システム構築費、広告宣伝・販売促進費、外注費、研修費など
申請方法 事業再構築補助金事務局で受付

 

・感染防止協力金

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、休業や営業時間の短縮など自治体からの要請に協力した事業者に向けて、協力金が支給される。自治体ごとに支給対象の業種や申請期間、支給額、手続き方法が異なる。これまでにも国の方針を踏まえて、申請期間などの延長などが見られたため、対象者は該当の自治体のホームページを注意して確認する必要がある。

・持続化補助金

持続化補助金は、一般型と低感染リスク型ビジネス枠の2種類がある。特に、低感染リスク型ビジネス枠は、ポストコロナ社会に対応するために導入された補助金である。消毒液や検温器などの購入費用や、換気設備を導入するための費用の一部を国が支援する。

<一般型>
小規模事業者などが経営計画の策定をして取り組む販路開拓などの取り組みを支援する。

補助額 上限50万円
補助率 3分の2
補助対象 店舗の改装、チラシや広告の作成および掲載など
申請スケジュール 20211013日現在、6次募集まで終了している。
・(7次締切) 2022年2月4日(金)
申請方法 経済産業省jgrantsにて受付

 

<低感染リスク型ビジネス枠>
小規模事業者などがポストコロナ社会に対応するためのビジネスモデルに転換する際にかかる費用や、消毒液の購入費や換気設備導入費などの感染防止対策費の一部を支援する。

補助額 上限100万円
補助率 4分の3
※ただし感染防止対策費は補助金総額の4分の1(条件によっては2分の1)を上限に支援
補助対象 人同士が接触する機会を減らすためのテイクアウト・デリバリーサービスの導入、ECサイトの構築など
申請スケジュール 20211013日現在、3次募集まで終了している。
・(4次締切) 2021年11月10日(水)
・(5次締切) 2022年1月12日(水)
・(6次締切) 2022年3月9日(水)
申請方法 経済産業省jgrantsにて受付

 

雇用調整助成金の総支給額が2021年7月末時点で4兆円を突破

コロナ禍が長期化していることで雇用調整助成金の支給額が増加し、雇用保険の財政が窮迫している。新型コロナウイルスが本格的にまん延し始めた2020年3月から2021年7月23日時点での支給決定額は4兆円を超えた。

2008年のリーマン・ショック後にも特例措置が設置されていたが、その際の支給額はおよそ6500億円に留まっており、比較すると現在は約6倍にまで膨れ上がったことになる。

しかし、雇用調整助成金の特例措置の効果で日本の失業率は海外諸国よりも低く抑えられているのも事実だ。これからは、財源確保をどう進めていくかが本格的な課題となるだろう。事業や従業員の雇用を守るためにも、国が負担する助成金、補助金、支援金等を積極的に活用していくことが求められる。

[参考文献]

・厚生労働省
「歩合給がある場合の雇用調整助成金の助成額算定方法が令和3年9月1日以降の休業から変わります」
保険局保険課「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給について」
「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」
「最低賃金を引き上げた中小企業における雇用調整助成金等の要件緩和について」
「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」

・経済産業省
「月次支援金」
「事業再構築補助金」
「持続化補助金」


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