業界動向

コロナ禍で注目を集める飲食店のIT化・DX化。地方でも広がる 体験価値向上の取り組み事例

2021年09月22日

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コロナ禍で消費者と飲食店の関係性が薄れてきている。外食機会の減少に加え、飲食店も営業時間の短縮や酒類の提供自粛、黙食の協力依頼などが続いているためだ。今後どのようにして新規顧客を獲得しリピーター作りをすればいいのだろうか。

キーワードのひとつなるのが飲食店のITの活用だ。最近では都心部において、アプリで注文から決済までを完結し、最低限の接触で料理を手に入れられるフードデリバリーサービスや、「ゴーストキッチン」という客席を持たず、デリバリーやテイクアウトのみを行う業態が増えている。

そしてこの流れはいま地方でも着実に広がっている。本記事では、飲食店によるIT化のメリットと、消費者の体験価値や事業者のブランド価値を上げているDX※化の事例を紹介する。 

※DX:「デジタルフォーメーション」の略語、ITの力で人々の生活をより良くすることを目指している。

飲食店がIT化を推進するメリットと、DXの意味

飲食店でIT化を推進するメリットは大きく分けて以下の3つだ。

・集客力の向上

・利便性の向上

・業務の効率化/負担軽減

 

これらのメリットについてひとつずつ見ていく。

集客力向上

一つ目のメリットは、IT化によるマーケティング力の向上によって顧客のニーズに応えられるようになるということだ。性別や年代、店舗などさまざまなカテゴリー別に、売れた商品や繁忙した時間帯などを集計できるツールを活用し、顧客のニーズや店舗の傾向に合わせてより的確なマーケティング戦略が立てられるようになる。

また、デリバリーやテイクアウトなど複数の販路を確保することで、さらに顧客情報とマーケティング情報の収集を加速できる。なるべく多くの情報を集め新規顧客やリピーター獲得に向けた適切なアプローチが可能になる。

利便性の向上

二つ目のメリットは、顧客と店舗双方の利便性が向上する点が挙げられる。オンラインで店舗の混雑状況を確認できれば、顧客は空いている時間帯を狙って来店できる。これはコロナ禍において三密を避けることにも役立つ。

店舗側は顧客を分散させることで、常に高いサービスや商品を提供できる環境を整えられる。忙しい時間帯に人手不足が原因で起こるミスや、顧客を待たせてしまうストレスの軽減も期待できる。

業務の効率化/負担軽減

三つ目のメリットは、IT化によって業務の負担が格段に減るということだ。例えば、閉店後に行うレジ締め作業の時間や手間が軽減される。また、「発注・受注・配送」などの作業も、今までは人為的ミスが発生するリスクがあったが、自動化することでその点も大幅に解消できる。

このように作業の効率化を図ることができれば、業務時間短縮や従業員の負担軽減にもつながり、人手不足の解消や人件費の削減になる。さらに余裕のある運営によって、より質の良いサービス・商品の追求も可能になる。

そしてITを活用して、企業が製品やサービス、ビジネスモデル、企業文化・風土などを変革し、ビジネス環境の変化に対応していくことを『DX(デジタルトランスフォーメーション)』という。

地方でDX化が急成長しているエリアとは

デジタル庁の設立が決定して以来、各地方自治体ではDX化を推進するための施策が打たれ、地方でもDX化の動きが徐々に強くなっている。中でも県全体で力を入れているエリアを紹介する。

三重県の飲食店×DXの取り組み

三重県では、子育て世代から高齢世代までの幅広い世代が暮らしやすい「寛容な社会」を目指して「あったかいDX」という取り組みを行っている。

「あったかいDX」では、株式会社Showcase Gigと協力して、県内の飲食事業者に向けて飲食店のDXに関するセミナーを開催したり、モバイルオーダーやテーブルオーダープラットフォームの導入支援をしたりしている。

モバイルオーダーシステムの構築やキャッシュレス化を促進することで、コロナ禍でのスタッフと顧客の接触機会を減らし、感染リスクが抑制される。顧客が飲食店を安心安全に利用できる環境づくりと、飲食店の持続可能な店舗経営をサポートすることで、結果的に顧客の満足度向上や、サービス改善につながるのだ。

北海道大樹町のベーカリー店が提供する、新たな購買体験

北海道大樹町は人口約5,500人の小さな町である。そんな大樹町に2021年4月、新しい地方活性型のベーカリーブランド「小麦の奴隷」1号店がオープンした。「小麦の奴隷」はDXへの取り組みを強化し、同ブランド専用のモバイルオーダーアプリを開発して支払いの完全キャッシュレス化と無人ピックアップ(無人による注文~受取りを)を実現している。

■小麦の奴隷のDXの取り組み

決済から受け取りまで対人接客ゼロの新業態ベーカリーブランドの発足

・完全キャッシュレス決済

・専用のモバイルオーダーアプリの開発

 

決済から受け取りまで対人接客ゼロという新しい取り組みが話題を呼び、大樹町の人口は5,500人でありながらオープンから3ヵ月でカレーパンを1万個売り上げた。店舗数は着実に増え、2021年9月現在は滋賀県、香川県、福井県、青森県など、地方を中心に14店舗展開している。

広島県の飲食店×DXの取り組み

広島県は、水道、交通、観光、スポーツ、子育てなどの幅広い分野のDX化に注力している。例えば、子どもに関するデータに基づいて虐待などのリスクを予見するシステムの構築や、公共交通機関の乗り放題サブスクリプションサービスの試験的な実施、観光地の混雑情報を見える化する取り組みなどだ。

加えて、デジタル技術で県内の課題を解決する事業アイデアを募集し、さらにその事業の実証実験の場を提供するプロジェクト「ひろしまサンドボックス」を進めている。

2021年は、新型コロナウイルス感染症にまつわる課題を解決するアイデアを全国から募集した。さまざまなテーマがあるが、飲食店関連では「コロナ禍での食文化発信・食スタイル」というテーマで事業アイデアを募った。

最終審査では「一人客と飲食店のリアルタイムマッチングサービス」や「フードトラックでの開業支援や出店場所の提供および空きスペースの活用」、「出前メニューを提供したい飲食店と既存の飲食店をマッチングするクラウド基盤の構築」の3つのアイデアが選出された。

現在実証実験中で、1件につき最大1300万円と、県外企業に最大1000万円の滞在費用が県から支援されている。こうした実験から新しいビジネスの種が生まれてくることを期待したい。

今後ますます加速するDX化の取り組み

今、幅広い分野でDX化を推進する動きが加速し、東京だけでなく地方でも県や市町村をあげてさまざまな取り組みがされている。飲食店のDX化を図ることで、人件費削減やマーケティングの強化だけでなく、業務の効率化や感染症対策などの多くのメリットを享受できる。今後ますます加速するであろうDX化の動きに注目していきたい。

【出典元】 
広島県の取り組み
三重県の取り組み
北海道の取り組み
経済産業省『DX推進ガイドライン Ver. 1.0』


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