経営者インタビュー

年間1200万人が訪れる昔ながらの魚屋。繁盛の理由は、築地との連携と「4つの良いか」~角上魚類 柳下浩三社長

2014年10月01日

20141001_kakujo_600w

柳下浩三(やぎしたこうぞう)・・・1940年、新潟県生まれ。18歳の頃から家業の網元を手伝う。昭和40年代にスーパーが台頭してきた頃、小売店鋪「角上魚類」を創業。その後、関越自動車道の開通という好機を捉え関東に進出。現在22店舗を展開し、売上高は約261億円(2014年3月期)。ちなみに、熱狂的な阪神ファンでもある。

今から約40年前、新潟県寺泊町(現寺泊市)の海岸を走る街道沿いに、1軒の魚屋「角上魚類」が開業した。周りには店どころか民家もまばらだったが、開業から1年も経たないうちに近隣の町村から客が集まる繁盛店となる。その後は、関東圏を中心に一気に県外へと店舗を展開していった。現在、22店舗。年間の来店者数は1200万人を超える。いまだ、魚屋にとって最も重要な「市場」と「店舗」という現場で陣頭指揮を取る柳下浩三社長(74歳)にお話を聞いた。

網元が昔ながらの魚屋でスーパーに対抗

【Q】魚屋を出そうと思ったきっかけは何ですか?

今から40年ほど前は、スーパーマーケットがどんどん出てきて魚を売り始めた時代だったんです。それで、町の魚屋さんが次々に潰れていきました。でも、スーパーは合理主義だから魚を売る時に、初めから切り身にしたり、魚種もサンマやイワシ、アジなどわかりやすくて売れる魚しか置かなくなり、旬の魚も見なくなりました。

そして私がスーパーの鮮魚売り場を見て何より驚いたのは、卸値の2倍かそれ以上の価格で売っていたことです。それを見て、スーパーがあの価格であの売り方で売れるのであれば、うちはこれまで通り、昔ながらの魚屋のやり方で、しかも安い価格でやればスーパーより売れるはずだということで「角上魚類」を出したんです。

【Q】お店が目指した方向性は?

私は開業当初から「角上魚類」を遠くの町の人達がわざわざ買いにきてくれる魚屋にしたいと思っていました。遠くから買いに来てくれたお客さんにも必ず「良かった」と思ってもらえる店にするためにどうすればいいか、と考えたときにできたのが、「4つの良いか」です。

その「4つ」とは、「鮮度」「値段」「配列(品揃え)」「態度」です。魚屋ですからまずは鮮度が良くなければ話にならない。2番目に値段が安くなければいけない。3番目に、豊富な魚種が揃っていなければいけない。4番目に、スーパーのように店頭に魚を並べておしまいではなく、お客さんに対して我々販売する人間が気持ちよく受け答えをしなければいけないと。この「4つの良いか」を作ってから40年が経ちますが、うちの店作りのベースになっています。

【Q】実際にどのようなお店だったんですか?

包丁さばきにも技術が光る

昔ながらの魚屋さんのスタイルですよ。店には旬の魚をはじめいろんな魚を並べて、お客さんにこの魚は焼いて食べたらおいしいとか、煮て食べたらおいしいとか、あるいは天麩羅がいい、刺身がいいと、魚そのものを見せて店の人間がしっかりと説明をする接客をしました。それで、お客さんの食べ方に合わせて、店で魚をおろして売るようにしたわけです。

お客さんがそれを家で食べて、「ああ美味しい」と喜んでくれれば、今度は別の魚も食べてみたいと思ってもらえるんですよね。そうやってどんどん、リピーターのお客さんが増えていきました。

よくここ20年ほどで魚離れが進んでいる、といわれていますが、私は魚の売り方にも原因があると思っています。スーパーのような売り方では、魚の種類も食べ方も限られてきますから、新たに別の魚も食べてみようとはならないでしょう。

特に都会では、「魚なんてこんなものか」と思われてしまい、親も子供に魚を食べさせません。今の30代、40代の人たちを見てもそうです。子供の頃から魚を食べてこなかったので、魚にそれほど興味を示さないですよね。そういう状況が20年間も続いているのですから、魚離れが進んでいって当然だと思います。

経営者インタビュー バックナンバー

おすすめ記事

関連タグ

通信暗号化方式「TLS1.0/1.1」「SSL3.0」のサポート終了について
メルマガ登録はこちら