ヒット商品の舞台裏

「うまい棒」がロングセラーであり続ける理由~うまい棒(やおきん)

2015年02月03日

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株式会社やおきん 顧問・石井俊夫さん(右)、営業企画部・田中浩次さん

発売開始から今年で36年。1本10円という価格を守り抜き、駄菓子の代名詞ともいえる存在になった『うまい棒』。世代を越えた共通言語ともなっているロングセラー商品は、どのように生み出され、人気商品に成長したのか。

その秘密に迫るべく、『うまい棒』を販売する株式会社やおきんで、その誕生に携わり、めんたい味の発案者でもある顧問・石井俊夫さんと、現在、最前線でヒット商品を支えている営業企画部商品課係長・田中浩次さんにお話を聞いた。

珍しかった個包装の駄菓子

1979年、まず「ソース味」、次いで「サラミ味」「カレー味」の発売を開始した『うまい棒』。そのヒットの秘密を探る過程で、避けて通れないのが、“個包装”の話だ。

「発売当時、駄菓子屋さんのお菓子は、串イカやあられといった大きな容器に入ってバラで売られているものがメインでした。そんななか、うまい棒は10円という低価格でありながら、個包装で売り出しました。個包装にすることで、駄菓子屋さんは湿気や衛生面に対する心配が少なくなるので、売りやすくなります」(営業企画部・田中さん)

子供にとっては、袋入りで100円という価格のスナック菓子よりも、従来通りの駄菓子の値段で買える『うまい棒』は、すんなりと受け入れられたことだろう。しかも、販売店の扱いやすさも考慮されていたというから、かなり戦略的な商品だったといえる。

さらに、『うまい棒』の最大の特徴である豊富な種類にも、この個包装が一役買っている。パッケージに味や原材料、賞味期限を印字できるようにしたことで、その後のシリーズ展開が考えられたのだ。

「単体商品で売れたとしても、1品では売れ行きは徐々に厳しくなってきます。種類が増えていけば、工場の生産ラインも増えて、包装材にかかるコストを圧縮することができます」(田中さん)

「めんたい味」は創作芸術!?味付けにもヒットの秘密

これまで約50種類のフレーバーが発売され、現在も常時15種類前後を展開する『うまい棒』。過去のラインナップを見ると、「カニシューマイ味」「ホルモン味」「梅おにぎり味」など、意欲的なものもたくさんある。こうしたバラエティ豊かな風味はどのようにして生み出されるのだろうか。

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「うまい棒」シリーズで不動の人気を誇る、めんたい味

「基本的に、大人が食べてもおいしいものでないと子供にも通用しません。その前提で、『うまい棒』の製造メーカーである茨城県のリスカ株式会社と、相互に味の提案をしながらディスカッションを繰り返して作ってきました」(田中さん)

そして、1982年には、現在もトップの売り上げを誇る大ヒット商品「めんたい味」が誕生する。『うまい棒』の存在を広く知らしめた「めんたい味」の開発について発案者の石井さんがこう話す。

「福岡に行った時に有名店の明太子を食べて、そのおいしさに感動したんです。それで“これもうまい棒にできるんじゃないか”と。開発の際は明太子を取り寄せてその味に近づけようと、何度も試作を繰り返しました。めんたい味は、言ってみれば創作芸術でした。全国的に見ても明太子がまだ一般家庭に馴染みのないときに作りましたから。実際に発売されると、それまで明太子を食べたこともなかった子供たちの間で、一気に人気となりました。“ああ、これが明太子の味か”というインパクトと、大人が好んで食べている物を自分たちも食べているという背伸び感覚もあったと思います。そして、めんたい味のヒットは、『うまい棒』そのもののヒットにつながりました」(顧問・石井さん)

「当時、私はまだ子供でしたが、赤色で『うまい棒』と書かれた紫色のパッケージは強烈な思い出として残っています。その後、他社さんが明太子風味のお菓子を発売される時も、紫色のパッケージで出されることが多いですよね」(田中さん)

この他にも餃子風味を作る際には、人気店の餃子を数多く取り寄せて研究室で味を作り出したそうで、「部屋中がニンニク臭くて大変だった」という苦労もあったとか。

「苦労して作ってそれなりに評価されたとしても、継続して売れ続けるかは別です。実は、リアルな味の再現よりも多少デフォルメした方が長く売れます。無難な味というのは、無難な売れ方になってしまうんです。例えば10人いて全員がおいしいという万人受けする味よりも、10人中7人ぐらいがおいしいと感じる味や、ちょっとマニアックなもののほうが、コアなファンが生まれやすいんです」(石井さん)

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