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食品メーカーの異物混入対策。HACCPだけでは安心できない、工場の現実と課題

白田 茜(フリーランス記者)  2015年09月30日

HACCP、ISO22000などの取得状況

食品への危害発生を防止する対策として、HACCPやISO22000などの食品マネジメントシステムがある。

HACCPは、食品の生産から消費者の口に入るまでのすべての段階で予測される危害を分析し、食品危害を重点的に管理するポイント(重要管理点)を定め、管理方法を決めることをいう。

乳業メーカーや日本コカ・コーラ社でHACCPの導入・運用に尽力し、現在はISO22000やFSSC22000の審査員を務める、山口フードコンサルティング代表の山口秀人氏はHACCPについてこう語る。

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山口フードコンサルティング代表 山口氏

「HACCPは例えれば健康診断のようなものです。健康診断では数値化された検査結果を元に医者から健康状態について評価を受けます。食品工場で、原料の荷受け、保管、加工、包装など様々なプロセスでどのような危害が起きうるかハザード分析(Hazard Analysis)するのは“診断”に当たります。その結果、工場内で危害が起きうるプロセス(Critical Control Point)を特定し管理を行う。診断結果で受けた注意点に気をつけるのは健康診断と似ているかもしれません。ただ、HACCPには、計画(Plan)、実行(Do)、検証(Check)、改善措置(Act)のPDCA管理サイクルがありません。そこで、HACCPに加え、PDCAサイクルを含んだISO22000などの認証取得のニーズが出てきます」

ISO22000は、国際標準化機構(ISO)が発行した食品安全マネジメントシステムのこと。食品に限らず一般的な品質の管理システムのISO9001に、食品の一般的衛生管理とHACCPを統合した管理システムをいう。一次産品から小売、製造、運搬などフードチェーンに関わる全ての組織が認証の対象となる。

JAB(日本適合性認定協会)の統計によると、現在、日本におけるISO22000の認定状況は、631件(2015年9月16日時点)となっている。JAB以外で認証を受けた企業もあるので、実際はより多いと考えられる。

加えて、ISO22000にフードディフェンスに関する事項などが盛り込まれたFSSC22000という規格も出てきた。こちらは、食品の国際流通に大きな影響を持つGFSI(Global Food Safety Initiative)が取引先に認証を求めている規格だ。日本での取得件数は661件(2014年4月末時点)である。

HACCPの導入状況をみると、2014年10月1日時点で中小企業(食品販売金額1億円〜50億円)のHACCP導入率は33.5%。大企業(販売金額50億円以上)の導入率87.4%と比較すると、大きな差がついている。

「近年、輸出する際にISOやHACCPが取引の条件になっていたり、取引先から導入を求められるなど、企業規模に関係なくHACCPの必要性は感じていると思います。しかし、中小企業には人的な余裕はありません。必要性は感じつつも、どうやって導入したらいいのか、費用的な面でも二の足を踏んでいるのが実情ではないでしょうか」

中小企業が取り組める異物混入対策

異物混入対策というと、金属探知機など機器の購入、汚染区域などゾーン分けのための設備投資などといった新たな費用負担が頭をもたげがちだが、設備投資以外の対策についてはどうだろうか。山口氏によると、規模を問わず取り組むべき対策は同じだという。

執筆者プロフィール

白田 茜(フリーランス記者) 

1978年佐賀県生まれ。 佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。
食品コンサルタント会社を経て、専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をした後、現在は小売や食品関連の記事を書いている。
関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション、マーケティング。

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