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TPPが食品、外食業界に与える影響(後編)~企業の対策

進藤勇治(産業評論家)  2015年11月26日

関税の引き下げだけに着目しますと、原材料を輸入する国内の食品加工などの製造業がより大きな恩恵を受けます。一方で輸入食品においては、日本人が求める食の安全、安心への対処がより必要になってくるでしょう。

TPPのメリットは輸出、海外進出、資金調達の促進

最後にTPPの経済効果を、輸出振興や海外進出の促進という点から見てみます。東アジアからのTPP参加国は日本のほか、シンガポール、べトナム、マレーシア、ブルネイです。もともとこれらの国々の食文化は日本と類似しており、さらに近年の急速な経済発展に伴う富裕層の増加で食生活が豊かになっている背景があります。このため東アジアの国々が日本の商品を消費・購買する傾向になっていくと予測されます。主な加工食品を挙げますと、日本酒や米菓などのコメ加工品、味噌や醤油などの調味料類、チョコレートやキャンディーなどの菓子類、レトルト食品、麺類、健康食品などです。

しかしこれまでは外資の参入規制などが障壁となり、日本から東アジア諸国への輸出が困難なケースがありました。TPPの発効により貿易制度が整えられ、規制が緩和されることになります。このため日本企業による海外への輸出や企業の進出が促進されます。すでに日本の大手コンビニや外食チェーンが東アジアに進出していますが、これからは中小企業による海外進出への取り組みが必要になるでしょう。

国内の加工食品会社などでは輸出用商品の発注が増加した場合、生産設備も増やさなければなりません。この場合、TPP関連の事業であれば金融機関からの融資が比較的容易に得られるケースもあります。

TPPの影響は品目により様々ですが、フードビジネス全体にとってのメリットは総合的に大きいものと考えられています。私たちが今考えるべきことは、TPPにより各品目が受ける影響範囲を知り、農業従事者への収入補償、価格競争のリスク、輸出ルートの確立などの対策を的確にとっていくということです。

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執筆者プロフィール

進藤勇治(産業評論家) 

1951年愛媛県生まれ、東大卒、同大学院修了後、通産省入省。
マサチューセッツ工科大学客員研究員、通産省国際研究協力企画官、東京大学特任教授等を歴任。TPPや経済・産業問題、エネルギー問題に関する講演・執筆を行う他、企業の経営・技術指導やテレビに出演して解説等を行っている。

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