食の研究所

高血圧に血糖値上昇、メタボ要素を抑える酢の力~調味料の名脇役「お酢」の歴史と科学(後篇)

漆原 次郎(フリーランス記者)  2017年06月27日

「これまでの研究で、食酢を摂取すると肝臓で脂肪燃焼に関与する分子が増えることが報告されています。おそらく、そのような分子の働きを通じて脂肪の燃焼を促しているのだと考えられます」

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腹部の脂肪面積の変化。平均的なCTスキャン画像例。赤色の部分が内蔵脂肪。
ピンク色の部分は皮下脂肪。縮尺は合わせてある。(画像提供:ミツカングループ)

多様な作用を兼ね備えた調味料、お酢

ミツカンのこうした研究は、消費者の暮らしに役立てられることを前提としたもの。お酢を使った料理のレシピを情報発信するほか、商品開発にも生かしている。特定保健用食品(トクホ)では「血圧が高めの方に」と表示された黒酢ドリンクを展開中だ。

メタボリック症候群の抑制や予防につながるこれらのさまざまな作用。興味深いのは、血圧、食後血糖値、内臓脂肪に対する作用として考えられる仕組みが、それぞれ異なる点だ。

なぜ、お酢という1つの調味料が、これらの作用をいくつも持っているのだろうか。

「そこは正直、まだ分かりません。昔から人びとは経験的にお酢にはさまざまな効果があることを感じていましたが、その機能が科学的にも少しずつ証明されてきました。食酢15ミリリットルは大さじ1杯分で、毎日の生活の中で無理なく摂っていただける量だと思います。料理やドリンクなどでお酢を楽しんでいただき、健康に役立てていただきたいですね」

長く使われる食材には、「美味しい」という要素ももちろん重要ながら、他にも「健康によい」といった長く使われ続ける理由があるのかもしれない。

科学の視点が加わることで、その理由がさらに明らかになっていきそうだ。

執筆者プロフィール

漆原 次郎(フリーランス記者) 

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。
著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。

<記事提供:食の研究所
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