食の研究所

うどんとは大違い、パスタの形はなぜ多様なのか?~風味の魅力を生み出すデュラム小麦

佐藤 成美(サイエンスライター)  2018年06月22日

うどんの原料は普通小麦、パスタはデュラム小麦であり、原料の小麦の品種が異なるのである。デュラム小麦の普通小麦との一番の違いは、染色体の数が異なることだが、それ以外にもさまざまな違いがある。まず、カロテノイドを含むため、粒が黄色い。だから、パスタは黄色い。

また、粒はかなり硬く、ガラス質である。硬質小麦よりも硬いため、細かい粉ではなく、粗びきのセモリナ粉になるのだ。ちなみに「デュラム」はラテン語で「硬い」を意味する。

さらに、デュラム小麦は特にタンパク質を多く含み、またビタミンB群なども普通小麦より多く含む。このように栄養価の高いことが、パスタはダイエットによいなどといわれる所以なのかもしれない。パスタの原料に普通小麦を使うこともあるが、品質が変わり、消費者にはあまり好まれないようだ。イタリアでは、1967年にパスタに関する法律が制定され、「イタリアで製造される乾燥パスタは、デュラム小麦のセモリナ粉100%を原料にしなければならない」と定めている。

弾力性が高いゆえに多様な形状が可能

パスタの特徴には形状の多様さもある。細長いひも状から、ねじれたもの、筒状などさまざまな形があり、650種類以上もあるといわれる。さらに、さまざまな形状があるからか、パスタに合わせるソースの種類も多く、食べ方もバリエーションに富んでいる。パスタのゆであがりの状態を「アルデンテ」(歯ごたえのある)というように、しこしことした弾力のある歯触りもパスタならではの特徴だ。

小麦粉に含まれているタンパク質は、水を加えて練ると網目構造のグルテンを形成する。デュラム粉はタンパク質を多く含むので、グルテンが多く形成され、弾力が強くなる。

パスタは、小麦粉を練った生地に圧力をかけて鋳型から押し出して成形する。グルテンのおかげで生地に粘りや弾力があるので、押し出しても切れることなくいろいろな形にできるのだ。そのうえ、ゆでても形はくずれず、独特のしこしことした歯触りを生み出す。

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パスタには、実にさまざまな形状がある。

近ごろ、「グルテンフリーダイエット」が注目され、グルテンは健康によくないという印象を持っている人がいるかもしれない。グルテンフリーとは、「グルテンを含まない」を意味し、グルテン不耐症の人に対する食事療法として取り入れられた。

だが、麩はグルテンを原料にしたものであるし、パンはグルテンの粘りや弾力性を利用して膨らましている。グルテンがなければ、ふわふわのパンや麩、そして何より、しこしことしたパスタを食べることができなくなる。不耐症でなければ、無理にグルテンフリーにする必要はないだろうと思う。

普及の当初はうどんのような食感だった

日本に初めてパスタが持ち込まれたのは幕末のことで、外国人のみが食べていた。1872(明治5)年に出版された敬学堂主人著『西洋料理指南』では、「竹筒の形をしたうどんのようなもの」と記録された。その後、マカロニは「穴あきうどん」と呼ばれていたという。

執筆者プロフィール

佐藤 成美(サイエンスライター) 

佐藤 成美(さとうなるみ) サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。

<記事提供:食の研究所
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