食の研究所

うどんとは大違い、パスタの形はなぜ多様なのか?~風味の魅力を生み出すデュラム小麦

佐藤 成美(サイエンスライター)  2018年06月22日

日本でパスタが一般的になったのは戦後、1955(昭和30)年に初めて本格的なパスタ製造機が導入されてからである。とはいえ、そのころの国産パスタはデュラム小麦100%ではなく、複数の小麦粉をブレンドして作られたものだった。まだデュラム粉が手に入りにくかったこともあるが、うどんに慣れている日本人にとって、デュラム粉のパスタの食感はあまり好まれなかったらしい。

当時はパスタなどとはいわず、「スパゲティ」や「マカロニ」と呼んでいた。その頃のスパゲティは現在のものよりも太く、給食のソフト麺のようなゆでスパゲティ麺もたくさん出回っていた。

日本で初めてデュラムセモリナ100%の製品が販売されたのは1986(昭和61)年のこと。ちょうどバブル経済の時代で、外食が盛んになり、イタリア料理がブームになったころだ。日本人の好みも変わり、スパゲティやマカロニではなく「パスタ」と呼ぶようになった。

純国産パスタが誕生

今では、日本でもパスタの原料はデュラムセモリナ100%が当たり前になったが、日本で販売されているパスタの原料はヨーロッパ産やカナダ産ばかりで、国産のものは見かけない。国産デュラム粉が見られないのは、乾燥や高温が適するデュラム小麦の栽培が日本では非常に難しいからだ。

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淡路麺業が発売している
淡路島産デュラム小麦「島komugi」
(写真提供:淡路麺業)

しかし、ついに日本でのデュラム小麦の栽培が始まった。淡路島にある淡路麺業は、日本産パスタを作りたいとイタリアから種を取り寄せ、栽培に挑戦し、その小麦を使ったパスタの商品化が始まっている。

また、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構も、日本での栽培に適したデュラム小麦の国産品種を開発した。瀬戸内地方で栽培が始まり、こちらも商品化され、注目されている。まだ、生産は少量であるが、デュラム小麦の栽培が盛んになれば、純国産パスタも多く出回ることになるだろう。

デュラム小麦の栽培も始まり、日本人の食生活とパスタの関りがいっそう深くなりそうだ。さぬきうどんのような郷土のうどんならぬ、郷土のパスタも現れるかもしれない。

執筆者プロフィール

佐藤 成美(サイエンスライター) 

佐藤 成美(さとうなるみ) サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。

<記事提供:食の研究所
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