食の研究所

インドネシアは日本に劣らぬ「発酵食品」大国だった~ジャカルタとボゴールのわんさか食紀行

佐藤 成美(サイエンスライター)  2018年09月25日

オンチョムの作り方はテンペとほぼ同じだが、原料にはラッカセイの油をしぼったあとの粕やオカラ、キャッサバ粕などを使う。これらは繊維が多くて消化されにくいため、おもに飼料にされていたが、発酵させることにより消化がよくなるため食用になった。これらの原料をアカパンカビで発酵させるとオレンジ色のオンチョムに、クモノスカビで発酵させると黒いオンチョムになる。

テンペもオンチョムも同じように食べるというが、ジョコさんの研究室の学生であるタリさんやリダさんは口をそろえて、「バナナの葉に包まれたテンペが好き」という。外国人にとっては同じように見えるテンペやオンチョムも、地元の人にとってはそれぞれ好みがあるらしい。

イモにもち米、発酵スイーツも充実

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タペシンコン。「シンコン」はキャッサバのこと。
(筆者撮影、以下も同様)

テンペ以外にもよく見かけたのが「タペ」だ。タペはゆでたり蒸したりしたキャッサバやもち米を発酵させた伝統的なスイーツだ。キャッサバはインドネシアで広く食べられている植物で、イモはタピオカの原料である。

とりわけこのキャッサバを発酵させたものを「タペシンコン」といい、発酵させることで驚くほどに風味が変わるという。タペシンコンはそのままでも、天ぷらにしても食べる。どちらも食べたが、イモはねっとりと甘く、少し酸味もあり、まるでサツマイモかバナナのようだった。

もち米を発酵させたものを「タペクタン」という。白いもち米を発酵させたもののほかに、日本では珍しい黒いもち米を発酵させたものもある。

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袋に入った、黒いタペクタン。

市場では黒いもち米で作ったタペクタンがビニール袋に詰められて売っており、ジョコさんが「食べてみて」と勧めてくれた。アルコールのかすかな香りがして、甘味と酸味があり、つぶつぶとした穀物の粒が口に当たる。どこか懐かしい、日本の甘酒のような食べ物だと感じた。実際、このタペクタンの水分はアルコール飲料になる。

タリさんもリダさんも、タペが大好きで、リダさんは「自分でもタペクタンを作ります」と言う。蒸したお米に麹(こうじ)をかけて、置いておくと、風味が変化してタペになる。それをそのまま食べるという。「黒いタペクタンは、ココナッツミルクと食べるとおいしい」とリダさんは教えてくれた。

執筆者プロフィール

佐藤 成美(サイエンスライター) 

佐藤 成美(さとうなるみ) サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。

<記事提供:食の研究所
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