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インドネシアは日本に劣らぬ「発酵食品」大国だった~ジャカルタとボゴールのわんさか食紀行

佐藤 成美(サイエンスライター)  2018年09月25日

中国由来の麹を独自に発展

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スーパーマーケットに並べられた
多種多様なケチャップ。

焼き鳥のようなサテや炒め物などに欠かせない調味料が「ケチャップ」で、スーパーマーケットの棚にはびっしりと並んでいた。ケチャップといってもトマトケチャップとは違い、醤油のようなもの。大豆をクモノスカビで作った麹で発酵させ、塩とスパイスを加えて作られる。

甘くて少しドロドロした「ケチャップマニス」や、辛いタイプの「ケチャップアシン」もある。大豆を発酵させた調味料には「タウチョ」もあり、これは日本の味噌に例えられる。豆腐とよく似た「タフ」も見かけた。日本と同じような大豆の加工品が、広く食べられているようだ。

タペやテンペなどの発酵食品の製造に使われているのが「ラギ」と呼ばれる麹だ。餅状に固めた穀物にカビを増殖させたもので、9世紀に中国から伝わったといわれる。この国の気候風土に適したラギが作られるようになり、あらゆる発酵食品に使われるようになった。

インドネシアは中国の文化の影響を強く受けており、さまざまな発酵食品や大豆の加工法は中国からもたらされた。納豆や豆腐など日本と似たような食品がたくさんあるのはそのためだろう。一方、インドネシアはインドの影響も受けており、インド文化によりたくさんのスパイスがもたらされた。両方の影響を受けたインドネシアの食文化は、豊かで魅力的だ。

発酵させれば一石二鳥

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市場で売られているテルルアシン

市場では、青く染められた少し大きめの卵が市場で売られていた。「テルルアシン」といい、アヒルの卵を塩と灰に漬けて発酵させたもので、インドネシアのピータンというところだろう。卵の殻にいるバクテリアのはたらきで発酵する。食べてみると、とにかく塩辛い。案の定、そのままでは食べずに、料理の味付けなどに使うそうだ。

その他にも、魚を丸ごと発酵させた「イカンペダ」も市場で売っていた。今回は見かけなかったが、ドリアンも発酵させて食べる場所もあるという。まさしく、インドネシアは発酵食品の宝庫だ。

一年中気温が高く、湿気も多いインドネシアは、微生物が増殖しやすい環境だ。当然、食べ物は腐りやすいが、逆に微生物のはたらきを利用して発酵させれば食べ物を保存しておける。さらにおいしくなるなら一石二鳥ということで発酵が盛んになったのだろう。

インドネシアと日本とは気候はずいぶん違うのに、米を中心に大豆やたくさんの発酵食品を食べる食生活はよく似ている。そのためか、インドネシアの食事はどこか懐かしく、親しみやすかった。

とはいえ、今回はインドネシアの食のほんの一面を見ただけだ。たくさんの島々や文化のあるインドネシアには、その土地ごとに個性的な食や珍しい発酵食品がありそうだ。また、機会があれば、その魅力を探ってみたい。

執筆者プロフィール

佐藤 成美(サイエンスライター) 

佐藤 成美(さとうなるみ) サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。

<記事提供:食の研究所
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