食の研究所

食品ロスの解決にも! 新技術が食の世界を開く 食の専門展に技術革新と創意工夫を見る

漆原 次郎(フリーランス記者)  2019年10月23日

はじけまくるフィルム・容器で食品ロス減らす

超撥油コートのフィルムにスポイトで水を
垂らしたところ。水は広がらず、染み込まず、
露のような形でとどまっていた。

一方、ナノテクノロジーなどの技術や薄膜製造装置の販売などを行うSNT(東京都千代田区)は、「超撥水・超撥油」の表面加工を施したケーキフィルムやカップなどを展示した。

同社は、慶應義塾大学理工学部の白鳥世明教授らの研究チーム、それに缶詰用空缶や食品用プラスチック容器などを製造販売する大和製罐との共同プロジェクトを進めてきた。

ハスの葉が水をはじく表面形態を模倣することで、クリームなどの付着を制御するフィルムを開発した。凹凸構造を複雑化することで、水滴だけでなく油滴でも、表面との接触角が150°以上となる「超撥油表面」を実現した。これをフィルムや紙などに印刷することにより、コーティングさせることができる。

通常のケーキフィルム(左)と違い、超撥油コート
のフィルム(右)には、ケーキのホイップクリーム
が付かない。蓮の葉の表面効果とフッ素加工の
効果の2つを利用している。(写真提供:SNT)

超撥水・超撥油にすることのねらいとして、SNTの広辻潔氏は「食品ロスの抑制」を挙げる。付着すべきでない容器やフィルムに食品・食材が付着しなければ、捨てるところなく食べられることになる。

「それに、使用後の容器は乾いている状態に近くなるので、焼却や再生をするときのエネルギーコストも抑えられます」と広辻氏。ビールの泡立ちなども、きめ細やかさが増すという。きれいに食べられることは、エンドユーザーにとっても気持ちのいいことだ。

ホールケーキ用フィルムについては、すでに洋菓子などの製造・販売をする会社に採用された。また、市販ヨーグルトのフタ裏にも、同社が他社と共同開発した技術が利用されている。

「コストパフォーマンスのよい製品を目指していきたい。私どもと組んで商品開発をする方をお待ちしています」(広辻氏)

執筆者プロフィール

漆原 次郎(フリーランス記者) 

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。
著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。

<記事提供:食の研究所
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