食の研究所

食品ロスの解決にも! 新技術が食の世界を開く 食の専門展に技術革新と創意工夫を見る

漆原 次郎(フリーランス記者)  2019年10月23日

薄いインナー手袋でムレ知らずのスムーズな手作業

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(上)「EXフィット手袋」。
(下)同手袋の外からゴム手袋をはめたところ。

食品・食材を手で扱う作業現場では、衛生管理面からゴム手袋の着用がほぼ当然のこととなっている。だが、ゴム手袋を直接はめると、作業中に手がムレたり、手袋を外すときベタついたりして、これが作業者のストレスにもなっている。

これに対し、各種手袋の製造・販売などを行うショーワグローブ(兵庫県姫路市)は、ゴム手袋をはめてもムレぬよう、インナーにはめるナイロン・ポリエステルなどの素材の手袋「EXフィット手袋」を開発。この展示会でも展示した。

以前から食品工場などでは作業者はインナーに手袋をはめ、二重にして作業をしていたが、「インナーの生地が厚いため作業しづらい」といった声が上がっていた。この声を聞いた同社は、網目をより細かくすることで、さらに薄く、手にもフィットする手袋を開発した。また、アウターのゴム手袋の破れをすぐに色で見つけられるよう、「EXフィット手袋」ではブルーとホワイトの2色を用意した。

同社の北川陽介氏は「インナーをしていても薄いので、作業性が損なわれにくいとお客さまには言っていただいている」と話す。筆者もこの手袋とゴム手袋を二重にはめてみた。ゴムが直接、皮膚に当たってムレていく嫌な感覚は当然ない。グー・パーといった動作もスムーズにできた。

顧客の「我慢」に目を向けた製品開発

産業界では広く、「顧客満足」に向けて製品やサービスの開発が目指されてきた。一方で、「ここを改善してくれると本当はいいのに」と思いながら、仕方なく既存品を使いつづける「顧客我慢」の側面に目を向けるべきと考える企業の開発者もいる。

今回紹介した3つの商品・技術は、いずれも「顧客我慢」に手を打ったものともとれる。「鮮度の高い状態で冷凍保存ができない」「フィルム・容器に食材が付いてしまう」「手がムレる、手を動かしづらい」。心ならずも顧客が受け入れてきたこれらの「我慢」が、新製品によって解消される。これもまた、食をめぐるものづくりの大いなる進歩といえよう。

執筆者プロフィール

漆原 次郎(フリーランス記者) 

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。
著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。

<記事提供:食の研究所
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