海外食生活レポート

テナント出店に失敗しない3つのポイント-中国・上海の商業モール事情

川添 英起(株式会社リバーサイドシンク)  2016年04月12日

ポイント2 混在型のモールは失敗しやすい?

集客の余地がある「96広場」

集客の余地がある「96広場」

上海・浦東地区の中心地、地下鉄4路線が通る世紀大通駅と直結する場所に「96広場」という、地下1階、地上3階の約3万㎡の中型モールがあります。レストラン、ファッションなどの複合ショッピングモールですが、フロアごとに業態が分かれておらず、混在型のモールとなっています。

2008年、96広場のオープン時に、がってん寿司の中国進出1号店「合点寿司」の出店を支援しました。この店は、今や上海でもっとも有名な回転寿司店となった、合点寿司の基礎を作った店と言えます。しかし出店した区画はベストとは言えず、オープン当初は隣が女性下着の店舗でした。同じフロアには飲食店もありましたが、H&Mなどのアパレル店舗も存在し、飲食専門フロアのように食事だけを目的とした集客は、期待できない環境でした。

このモールはオープンから8年経過した2016年現在も、私の期待していたほどの集客はできていません。合点寿司のように品質で勝負し、ブランディングできた店舗にとっては問題ありませんが、中には苦戦している店舗もあるようです。そんな状況の改善を狙ってか、最近、アパレルから飲食店へのテナントの入れ替えが行われています。地下鉄の駅から直結しており、ロケーションは申し分がないので、モールの内容を工夫すれば、より多くの集客ができると思います。

ポイント3 テーマのない商業モールは飽きられる

集客に伸び悩んでいる「日月光広場」

集客に伸び悩んでいる「日月光広場」

もう一つ気になる商業モールがあります。上海・浦西の打浦橋にある「日月光広場」です。総面積約7万㎡の複合商業モールである日月光広場は、観光地として有名な田子坊に隣接するロケーションです。計画段階で、図面やパースを見ると、地下鉄9号線の打浦橋駅の改札口がモール内にある絶好のポジションでした。

しかしオープンして驚きました。地上からのメイン入口となる大通り側の店舗に、パソコンや携帯電話の販売店が連なっていたのです。まるで上海にある「百電脳」という、携帯・パソコンの専門モールのようなレイアウトでした。集客のメインとなる道路沿いのエントランスには、ファストフードやコーヒーショップが出店するであろう、と考えていたので大変驚きました。その上、1階の奥は宝飾店舗が連なっていました。百貨店であれば分かりますが、複合商業モールでこのレイアウトでは、なかなか集客は難しいのではないかと思います。

一応、業態別にゾーニングはされているものの、雑然とした業態ゾーニングのため、消費者にとってわかりにくく、モールへの興味が薄れているように感じます。

最近は、テーマ性のないモールは飽きられる傾向にあります。テーマ性があるモールでは、徐家匯のメトロシティーにある「五番街」が日本をテーマにしており、大変人気があります。また、万博跡地に建設された「世博源商業モール」も、ミニ列車や噴水ショーなど集客アトラクションに工夫を凝らし、安定的な集客ができています。

以上を総合し、中国の商業モールへ出店する際は、一過性の集客状況に惑わされず、テーマ性を持って、計画的に設計された商業モールを選ぶことをオススメします。

執筆者プロフィール

川添 英起(株式会社リバーサイドシンク) 

中央三井信託銀行で法人融資業務を中心に担当。退職後、株式会社三機サービスに取締役として入社し、株式上場および営業本部業務を担当する。その後、同社の中国法人の設立、運営に従事。並行して、株式会社リバーサイドシンクの代表取締役に就任し、経営戦略、中国進出コンサルティングを手がける。

海外食生活レポート バックナンバー

おすすめ記事

関連タグ

通信暗号化方式「TLS1.0/1.1」「SSL3.0」のサポート終了について
メルマガ登録はこちら