食の研究所

もはや“やって当然”となった宅配ビジネス ―「お店に来て」から「お家に届けます」の時代へ

白田 茜(フリーランス記者)  2015年08月24日

2000年にはセブン-イレブンがセブン・ミールサービス「お食事配達サービス」を開始した。500円以上で店舗の従業員が無料で宅配し、セブンミールのお弁当などに加え、店舗内の商品も併せて届けることができるという。2013年度の売上は250億円で、会員数は46万人以上に達している。

20131月にはローソンとヤフーの合弁会社「スマートキッチン」も食材や日用品の定期宅配サービスを開始した。パソコン、スマートフォン、タブレット端末から注文した商品を毎週、指定した時間帯に届ける。20147月には「ローソンフレッシュ」としてリニューアルした。健康にこだわった商品16000点に絞り、ナチュラルローソンの関連商品や「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」の有機野菜なども取り扱う。

さらに、ローソンは佐川急便の持株会社SGホールディングスと業務提携し、コンビニ商品を宅配便と一緒に届けるサービスを開始する。6月に東京都世田谷区でサービスを開始し、2015年度中に東京都内100店に広げ、全国に拡大して行く予定だという。

コンビニエンスストアが惣菜などを家まで届けるとなれば、弁当チェーンも当然ながらサービスで対抗する。弁当販売店チェーン「オリジン弁当」を展開するオリジン東秀は「彩食健味」を2013年から開始。持ち帰り弁当「ほっともっと」のプレナスはウェブを通じた宅配サービス「NettoMotto(ネットモット)」を、「ほっかほっか亭」のハークスレイも弁当宅配サービス「ほっか食楽」を開始。宅配寿司「銀のさら」を展開するライドオン・エクスプレスも宅配サービス「銀のお弁当」を始めた。

その他、1時間刻みで時間帯指定ができる酒の宅配サービス「カクヤス」や、インターネット上で有名店のお弁当を注文できるサイト「ごちクル」など、宅配ビジネスに様々な事業者が参入し、いまや過当競争の様相を呈している。コンビニが配食サービスを行う、牛乳宅配が米や健康食品を扱うなど業種のクロスオーバー化も顕著だ。

現代版「御用聞きビジネス」

小売業界では、消費者がいつでもどこでも商品を購入することできるようにする「オムニチャネル化」も進展しつつある。「どこに場所を構えて、何をどれだけ売るか」から「その顧客のニーズにいかに応えるか」という考えにシフトせざるを得なくなってきているのだ。

日本には、もともと「酒屋」などによる御用聞き文化があった。近年では、配送網やコールドチェーンが発展し、生鮮品の当日配送も可能になってきた。一人ひとりの消費者のニーズにあった商品をなるべく早く手元に届ける現代版御用聞きの時代がやってきているのだ。

セブン-イレブンは2006年から「御用聞き」を販売戦略に取り入れている。お弁当の配達の際に「お弁当の他に何かご入り用のものはないですか」と注文を受け付けるという。

店を構えて客を待つ営業から、顧客の元へ訪れ「必要なものはないか」と尋ねる。「このお客様にはあの商品がおすすめ」と過去の好みからリコメンドしたり、「そろそろ○○が切れる頃だ」と見計らって注文を促す買い物シーンも想定できる。

共働き家庭の増加や、高齢化に伴う買い物困難者の増加などで宅配のニーズは今後も高まりそうだ。過当競争の様相を呈している今、環境の変化に対応するスピード感と多様な消費者のニーズをいかに応えるかが鍵を握るだろう。

執筆者プロフィール

白田 茜(フリーランス記者) 

白田 茜(しろた あかね) 1978年佐賀県生まれ。 佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。
食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。

<記事提供:食の研究所
JBpress、現代ビジネス、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインの4つのビジネスサイトが共同運営する「食」の専門ページ。栄養士が勧める身体にいい食べ方、誰でも知っている定番料理の意外な起源、身近な食品の豆知識、食の安全に関する最新情報など硬軟幅広い情報を提供。
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