食の研究所

「のどごし」をつくるのは「香り」だった!―ここまで進化している食品フレーバーの世界

佐藤 成美(サイエンスライター)  2015年09月18日

食品にさまざまな風味を与え、おいしさを演出するフレーバー(食品香料)が、科学・技術の進歩とともに進化している。見た目は透明な水なのに果物や野菜の味がするフレーバーウォーターや、まるで焼肉を食べているような香りやコクを感じるスナック菓子など、フレーバーによる驚きの食品が次々に登場している。

考え抜かれた香りが食品の魅力を引き出す

「のどごしフレーバー」の製品開発をする
高田香料の社員(写真提供:高田香料、以下同)

さわやかな果汁の香りがするサイダー。フルーツ味のシャーベット。甘い香りの焼き菓子。どれもおやつの定番だが、もしも香りがなかったら、その美味しさを感じることはできないだろう。

香ばしい菓子に、ついつい手が伸びるのは、食欲をそそる風味があるからこそ。風邪をひいて鼻が詰まったときの食事は美味しく感じられないように、食品の香りは、味や舌ざわりとともに、美味しさを構成する重要な要素である。

また、香りは食品から情報を得るための重要な要素でもある。例えば、食品から不快な臭いがすれば、人はその食品を食べないだろう。逆に、好ましい香りがすれば、「美味しそうだ」と感じる。さらに、口に入れた時の香りで食品の種類を判断することができると、その味はより増強される。

このように、食品に重要な香りや風味を与えているのがフレーバーだ。

どんな食品でも、調理や加工、保存をすれば、香りは変化し、薄れていく。フレーバーは、その劣化した香りを補う役目を持つ。一方で、素材由来の好ましくない臭いをマスキングする役割も担う。さらに、食品に新たな風味を加えるために添加される場合も多い。

フレーバーは、食品の香りを再現するようにつくられているため、味わう人の想像力をかきたて、食品のおいしさを引き立てているのだ。

フレーバー飲料の火付け役は「コカ・コーラ」

人は古くから花や樹木の好ましい香りを香料や香水として利用してきた。18世紀には欧州でオーデコロンが流行したが、それらは植物や動物などの天然物から香りを抽出したもので、手間のかかる貴重なものだった。

19世紀に、有機化学が発達して香りの成分が明らかになると、ドイツで香料が合成されるようになった。合成香料は安く大量に生産できるために広まった。

一方、食品にはスパイスやハーブで食品に香りを付けたり、肉の臭みをとったりする習慣があったが、合成香料が出回ると次第に食品にもフレーバーとして香料が使われるようになった。20世紀初頭前後、米国で「コカ・コーラ」のような風味付きの清涼飲料水がブームになり、フレーバーが一大産業になった。

執筆者プロフィール

佐藤 成美(サイエンスライター) 

佐藤 成美(さとうなるみ) サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。著書に『「おいしさ」の科学』(講談社ブルーバックス)『お酒の科学』(日刊工業新聞社)など多数。

<記事提供:食の研究所
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