食物アレルギー対策

9割がメニューのアレルゲンを調査してから来店~食物アレルギーの子どもがいる家庭の外食事情

今村慎太郎 (NPO法人アレルギーっこパパの会 理事長)  2020年12月23日

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前回、食物アレルギーの子どもがいる家庭は、一般家庭に比べて外食・中食の利用頻度が少ない傾向にあり、その分、月の食費も少ないことから食物アレルギーの子どもがいる家庭には外食・中食の潜在的なマーケットが存在することをお伝えしました。

今回は、食物アレルギーの子どもがいる家庭が外食でどのような経験をし、どのようにしてお店を選んでいるかなど、外食行動に関する調査をもとに紹介します。ぜひ、アレルギー対応に取り組む際の参考にしてください。

アンケート調査からみた、アレルゲン品目の分布と傾向

今回紹介する調査は、2020年11月に株式会社CAN EATと当法人が共同で実施した、20歳未満の食物アレルギーの子どもがいる家庭105件のデータです。

回答家庭の食物アレルギーの子どもの年齢は、0~14歳が92.5%を占め、複数のアレルゲンがある子どもが大半を占めています。アレルゲンは一般的な傾向と同じく、卵73%、乳成分53%、小麦36%となりました。

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また、回答者の76%が、発症時にアナフィラキシー症状の進行を一時的に緩和するアドレナリン自己注射薬「エピペン®」を処方されていることから、比較的重めの食物アレルギーの子どもがいる家庭といえるでしょう。

外食の際に毎回必ず食物アレルギーを伝える家庭は17%

飲食店の運営側で気になるのは「外食の際にお店に食物アレルギーがあることを伝えているか」ではないしょうか。

ここでは上記と同じ食物アレルギー当事者の家庭を対象に2つの質問をしています。

1つ目は「外食の際(もしくは事前)に食物アレルギーがあることをお店に伝えているか」2つ目は「Webでアレルギー一覧表が確認できる際も、食物アレルギーがあることをお店に確認しているか」です。

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自ら積極的に食物アレルギーがあることを伝えている人は、(「毎回必ず伝える」、「毎回ではないが、伝える時の方が多い」を合計)半数以下という結果がでました。食物アレルギー当事者は外食の際にリスクがあるのだから自分たちで伝えるだろう、と思われる方が多いかもしれませんが、実際は伝えない場合の方が多いようです。

外食で発症を経験したことがある家庭は70%

次に「発症」に関する結果を紹介します。今回の調査では、これまでに外食で発症したことがあるという回答は70%でした。2013年に同様の調査を行いましたが、当時の発症ありの回答は58%でした。

この数年の間に、食物アレルギーがあっても積極的に外食できる環境が整ってきているのでしょう。外食全体の利用回数が増えたことで発症数も増えているのだろうと考えます。

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そして、発症を経験したことがある家庭に、発症状況を自由記述式で回答してもらっています。

〇調味料まで細かく確認してもらったが、調味料に気を取られすぎて食材そのものがアレルゲンだったことを失念された。食べてから「これって豆腐では?」と確認したら「あー!」と言われました…。
〇遊園地の売店で購入したフライドポテトにアレルギー表示がなく、店員も原材料がわからない様子だったので、ポテトなら大丈夫かと思い食べさせたところアナフィラキシーで救急搬送された。
〇旅館で白ご飯のみ提供していただき、レトルトカレーなどをかけて食べさせたところ、夕食後と朝食後の2回とも軽い蕁麻疹やかゆみを発症。宿にはアレルギーがあることは話したが、品目の詳細を伝えておらず、白ご飯の炊き方などは確認しなかった。2回発症したため何らかのコンタミを疑った。
〇低アレルゲンの食事を用意してもらったが、お味噌汁の具にアレルゲンが入っていた。
〇見た目や普段の生活の中では、アレルギー食品が入っていると思わない食品に、実はアレルゲンが入っていたということがあった。
〇アレルギー対応メニューをオーダーしたが、誤ってアレルギー非対応メニューを出され、アナフィラキシーを起こし救急車で運ばれた。
 〇予約時に小麦アレルギーのことは伝えていましたが、料理のソースに小麦粉が入っていて、エピペン®を打ちました。業務用ソースの成分がよくわかっていなかったそうです。

単純なミスや行き違いもありますが、調理工程の不備と考えられるコンタミネーションや、メニューの原材料を確認できていないなど、管理上の課題が結果として大きな事故に発展するケースもあるようです。

このようなケースの場合、メニューの原材料や調理工程などを、社内全員で共有しておく仕組みづくりが重要です。例えば原材料情報をネットから検索できるようにすることで、電話やネットでのお問い合わせにも、売り場での対面の質問にも対応できるようになります。

また、調理工程を事前に社内で共有できていれば、一人では気づけなかったコンタミの危険性に気づくことができたかもしれません。

91%が初めてのお店に行く場合、アレルゲンに関する情報を調べる

最後に、食物アレルギーをもつお客が外食を利用する(選ぶ)際の行動を紹介します。まず紹介するのは、行ったことがないお店について事前にアレルゲンに関する情報を調べるかどうかです。

「毎回必ず調べる」と「毎回ではないが調べる時の方が多い」を合わせると91%が事前にアレルゲンに関する情報を調べていることが分かります。

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また、事前にどのような情報を調べるかを聞いた質問では次のようになりました。

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「アレルギー一覧表がWebにあるか」「自分のアレルゲンを使っていないメニューがあるか」という回答が「アレルギー対応をしてくれるか」よりも多くなりました。まずは自発的に調べられる情報を確認したいという気持ちが読み取れます。

また、調べる手段については次のようになっています。

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お店の公式ホームページを調べるという回答が93%と最多となりました。ほぼ全員が公式ホームページを調べており、そこで確認できない時やさらに情報を得たい場合にSNSやWeb上の口コミなどを調べていると思われます。

以上、食物アレルギーの子どもがいる家庭の外食での経験や行動を紹介しました。

今後もアレルギーを持った人が外食を利用する機会は、ますます増えてくるでしょう。その際大切なことは、メニューや原材料に含まれるアレルゲンについては、公式サイトなどWeb上に用意しておくことです。

Webであれば、原材料情報などを細かく記載することができますし、口頭による確認ミスなどの事故を未然に防ぐこともできるでしょう。なによりきちんした情報管理は、正確なアレルギー情報一覧の作成や、現場でのお問い合わせ対応に役立ってくれるでしょう。あくまでも対策の一部ですが、ぜひ皆さまのアレルギー対応・対策の参考となれば幸いです。


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執筆者プロフィール

今村慎太郎 (NPO法人アレルギーっこパパの会 理事長) 

長女の食物アレルギーをきっかけに、2013年にNPO法人アレルギーっこパパの会を設立し、理事長に就任。「食物アレルギーがある人の安心できる外食は、料理を提供する人の安全からはじまる」を信念に、外食事業者に向けた講演、日本マクドナルドのアレルゲン検索システム構築の際のアドバイス、森永製菓、第一屋製パンとの新規事業立ち上げ、障害者就労支援施設でのアレルギー対応食品製造、100名規模の参加者全員のアレルゲンに対応した外食イベントの開催、約5年間に渡る『HOTERES(週刊ホテルレストラン)』でのコラム連載などを行う傍ら、週に数日、飲食店の現場に入り料理の提供も行っている。
公式サイト:https://www.arepapa.jp/

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