法令対策

2021年6月からHACCP制度の対応義務化。飲食店が押さえておきたいQ&Aまとめ

2021年07月06日

2021年6月からHACCP制度の対応義務化。飲食店が押さえておきたいQ&Aまとめ

食品衛生法の改正により、2021年6月1日からすべての食品等事業者にHACCP(ハサップ)制度の義務化が始まった。特にコロナ禍で対策が遅れ気味の飲食店にとって、どのような点を抑えるべきだろうか。5月31日に厚生労働省が公開したQ&Aからポイントをまとめた。

HACCP制度とは

2018年に改正された食品衛生法により、外食等も含めたすべての食品等事業者(食品の製造・加工、調理、販売等)に、一般衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理の実施が求められるようになった。2020年6月1日に施行され、1年間の経過措置をとった後の2021年6月1日から完全施行している。

内容は事業者の規模や業種等を考慮し、取り扱う食品の特性等に応じた衛生管理とされる。大規模事業者には『HACCPに基づく衛生管理』、小規模事業者や飲食店など特定の業種向けには、簡略化された『HACCPの考え方を取り入れた衛生管理』が求められる。

※HACCP(ハサップ)とは:原料の受け入れから製造・調理、製品の出荷までの一連の工程や貯蔵、販売において、食中毒等の健康被害を引き起こす可能性のある危害要因を科学的根拠に基づいて管理する方法。

飲食店向けHACCP制度化のQ&A

【Q】何をすることが求められるのですか?

【A】営業者(集団給食施設を含む)は、食品衛生法施行規則に定められた「一般的な衛生管理」及び「HACCPに沿った衛生管理」に関する基準に従い、下記が求められます。

(1)衛生管理計画を作成し、食品等取扱者や関係者に周知徹底を図ること
(2)公衆衛生上必要な措置を適切に行うための手順書を必要に応じて作成すること
(3)衛生管理の実施状況を記録し、保存すること
(4)衛生管理計画及び手順書の効果を検証し、必要に応じてその内容を見直すこと

【Q】『HACCPに基づく衛生管理』と『HACCPの考えを取り入れた衛生管理』の違いはなんですか?

【A】下記のようになります。

 HACCPに基づく衛生管理HACCPの考えを取り入れた衛生管理
対応すべき要件 コーデックス委員会(※)が策定したHACCP7原則に基づき、食品等事業者自らが、使用する原材料や製造方法等に応じ、計画を作成し、管理を行う。 「HACCPに基づく衛生管理」をそのまま実施することが困難な小規模事業者等向けの衛生管理。業界団体が作成した手引書を実施することで対応が可能。
難易度 比較的しっかり取り組める 比較的取り組みやすい
対象事業者 ●大規模事業者
●と畜場
●食鳥処理場
小規模な営業者等
●飲食店等(喫茶店、給食施設、そうざい製造業、パン製造業、調理機能を有する自動販売機等も含む)
●50人未満の小規模な製造・加工等の事業場
●製造・加工した食品の全部または大部分を併設された店舗において小売販売する営業者(菓子や豆腐の製造販売、食肉や魚介類の販売等)
●容器包装に入れられた食品または包まれた食品のみを貯蔵、運搬、または販売する営業者
●食品を分割して容器包装に入れ、または包んで小売販売する営業者(青果店、コーヒーの量り売り等)

※コーデックス委員会:国際連合食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が1963年に設立した、食品の国際基準を策定している政府間組織

【Q】なにか新しい設備を設けなければならないのですか?

【A】HACCPは工程管理、すなわち、ソフトの基準であり、施設設備等ハードの整備を求めるものではありません。今回の制度化にあたっても現行の施設設備を前提とした対応が可能です。

【Q】HACCPに沿った衛生管理を実施していることを、事業者はどのようにして認証を受けるのですか。また、認証の取得は営業許可の要件になりますか。

【A】新制度のHACCPに沿った衛生管理の実施にあたって、認証や承認の取得 は必要ありません。実施状況については、保健所等が通常の定期立入検査や 営業許可の更新等の際に、衛生管理計画の作成や実施がなされているか監視 指導する仕組みとなります。 なお、営業許可の基準(要件)には衛生管理計画は含まれません。

【Q】衛生管理計画に不備があった場合、ただちに行政処分の対象となりますか?

【A】食品衛生法第60条第1項に基づく営業許可の取消または営業の禁停止については、都道府県知事等が判断することとなります。一般的には、事業者が衛生管理計画を作成しない場合や内容に不備がある場合、または作成しても遵守していない場合、まずは改善のための 行政指導が行われます。事業者が行政指導に従わない場合には、改善が認められるまでの間、営業の禁停止等の行政処分が行われることがあります。

なお、食中毒が発生した場合には直ちに営業の禁停止等の行政処分がとられることがあります。

【Q】飲食店が、「HACCPに沿った衛生管理」を実施していない事業者から仕入れた食材を使用した場合、食品衛生法違反になりますか?

【A】HACCPに沿った衛生管理を行っていない事業者から原材料等を購入したことが、直ちに食品衛生法違反となるものではありません。しかしながら、食品の安全性の確保はフードチェーン全体で取り組むこととなりますので、衛生管理計画に沿って信頼できる事業者から仕入れる、受入時の確認を行う等、必要な対応をお願いします。

【Q】(検食の実施)「原材料及び調理済の食品ごとに適切な期間保存すること」とありますが、具体的にはどのように保存すればよいですか。

【A】検食の保存期間や保存方法等については、「大量調理施設衛生管理マニュアル」(平成9年3月24日付け衛食付け第85号別添)を参考にして実施してください。

なお、検食の実施については、同一の食品を1回300食または1日750食以上調理し、提供する営業者を対象としていますが、万が一、食中毒等の危害が発生した場合の原因究明に役立ちますので、上記未満の規模の食数を調理、提供する営業者の方も、可能な範囲で検食の保存を行うようお願いします。

【Q】(検食の実施)「調理した食品の提供先、提供時刻及び提供した数量を記録し保存すること」。とありますが、例えばビュッフェ形式のような、詳細な提供先や正確な提供時刻等が分からない場合、どのように記録すればよいですか?

【A】食事を提供した時間帯や、提供したおおよその量等、業態に応じて可能な範囲で記録してください。

【Q】HACCPに沿った衛生管理の実施状況を記録し、保存することとされていますが、内容を電磁的に記録することや書面により作成した記録をスキャナ等により読み取って電磁的記録として保存しても問題ありませんか?

【A】衛生管理の実施状況の記録を電磁的記録として保存しても差し支えありませんが、電磁的保存を行う場合には、以下の事項に留意してください。

(1)保存すべき期間中において、記録された事項の改変または消去の事実の有無及びその内容を確認することができる措置を講じ、かつ、当該電磁記録の作成にかかる責任の所在を明らかにしていること。
(2)電磁的記録に記録された事項を画面や帳簿(紙)に出力することにより、ただちに明瞭かつ整然とした形式で使用に係る電子計算機その他機器に表示し、書面を作成できるようにすること。
(3)保存すべき期間中において復元可能な状態で保存することのできる措置を講じていること

飲食店は『手引書』を実施すること

飲食店は「HACCPの考えを取り入れた衛生管理」が求められる。まずは業界団体が作成している手引書の内容をそのまま実施するか、参考にして衛生管理計画を作成・実施してほしい。

【参照文献】
『HACCPに沿った衛生管理の制度化に関するQ&A』厚生労働省(2021年5月31日)
『営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報』厚生労働省
『HACCPに沿った衛生管理の制度化』厚生労働省
『食品衛生法の改正について』厚生労働省


メニューPlus

法令対策 バックナンバー

おすすめ記事

関連タグ



食品メーカーなど8000社導入!製品規格書クラウド管理システム BtoBプラットフォーム 規格書

メルマガ登録はこちら