業界動向

失敗できない商業施設への飲食店出店、気になるメリットと出店条件

2020年11月09日

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コロナ禍の影響により、飲食店の客足は減少傾向にある。ここで、あえて攻めの事業展開として、商業施設への出店という選択肢はどうだろうか。商業施設の集客力の活用、店舗のブランド力向上が期待でき、経営の見通しも立ちやすくなる。

一方で、家賃が売上歩合方式だったり、販促やメニュー表記にも制約があったりなど、契約条件は気になるところだ。飲食店が商業施設へ出店するメリット・デメリット、そして実際に出店する際の具体的な注意点をみていこう。

飲食店が商業施設へ出店するメリット

郊外型のアウトレットモールや百貨店、また家電量販店・大型スーパーなどの人気ショップが並ぶ複合施設や、映画館やテーマパーク併設のアミューズメント施設。コロナ禍で外出自粛が求められているとはいえ、全国的に商業施設では人出が回復しつつある。遠出を控える地元客が、感染予防策をとりながら息抜きに訪れる憩いの場となっているようだ。

施設内の飲食店は利用客の楽しみのひとつだ。商業施設の多くは、飲食店専門フロアやフードホール、横丁、またはファミリー層向けのフードコートがあり、集客の目玉となっている。商業施設への出店は、飲食店側にもメリットが多い。以下、詳しく掘り下げていく。

立地条件が良く集客力が高い

商業施設には、カップルが服や雑貨を買いに来たり、家族連れで映画を観に来たり、あるいは特に目的はなくぶらぶらと、幅広い客層が様々な用途で訪れる。ついでに飲食店に、という自然の流れが見込め、実際、休日のランチタイムともなればどの店舗も大賑わいだろう。

また、多くの商業施設は、基本的に立地が良い。駅直結・隣接でアクセスしやすかったり、郊外の場合も広い駐車場を備えていたりと、利用者が訪れやすい。顧客を呼び込む立地選びは出店戦略で重要な要素だ。日常的に多くの消費者が訪れるような広い商圏を取りたいと考えているなら、商業施設への出店でその条件をクリアできる。

天候に左右されにくい

雨の日のような悪天候では路面店だと客足が減少してしまうが、駅から濡れずにアクセスできたり、屋内駐車場があったりと立地条件の良い商業施設の場合は、さほど影響を受けない。むしろ屋外に出かけられないぶん、風雨をしのぎながら楽しめる場所として、わざわざ訪れることもある。雨脚が強まると、ある程度落ち着くまで施設内で待機しようと、時間潰しに飲食店を利用するケースもあるだろう。

広告費・宣伝費がおさえられる

屋外広告、グルメサイトやフリーペーパーへの掲載、折り込みチラシの作成など、飲食店の集客には様々な広告や宣伝が必要だ。販売促進はそれなりのコストや手間がかかる。

商業施設の場合は、施設自体が新聞広告や公式サイトなどで大々的に情報発信を展開している。また、週末や祝日などに「全館5%OFF」や「ポイント5倍」といった販促イベントを実施することも多い。そのマグネット効果で店舗のPRができるので、飲食店が独自に広告宣伝に割くリソースやコストを抑えられる。

加えてSNSやオウンドメディアなどを活用して宣伝すれば、費用を抑えながらも集客アップにつなげられる。ただ、宣伝手段に関しては商業施設側から条件を提示される場合もあるので、事前に確認が必要だ。

客層が把握しやすい

商業施設によっては、はっきりとコンセプトを打ち出し、ターゲット層が明確になっているケースもある。たとえば、10代〜20代の若年層を狙って、人通りの多い都市部に展開しているファッション系の施設、あるいは40代以降のアッパークラスの女性を対象にした百貨店など。ターゲットを絞り込んでいる商業施設と店舗の世界観がマッチすれば、狙った客層を呼び込めるメリットがある。

商業施設への出店が実績になる

商業施設への出店は、飲食店側の一存で実現するわけではない。出店申し込みの際には、テナントの出店計画や経営体質などの審査が行われ、総合的な評価で出店の可否が決定する。

ネームバリューのある商業施設への出店は、それだけで信頼性がある店舗と見なされる。企業のイメージアップや店舗のブランド力の向上につながるだろう。有名な商業施設への出店実績は、その後の出店計画も優位に進められるはずだ。

スタッフ募集がしやすい

周辺地域の消費者に高い認知度がある商業施設は、利用客だけでなく働き手も比較的呼び込みやすい。人気の商業施設で働きたいと希望する、アルバイト、パートスタッフを集められるだろう。

商業施設の強みであるアクセスの良さは、通勤しやすいということでもある。また、様々なテナントが入居しているので退勤後にショッピングする楽しみもある。施設によっては館内の店舗で利用できるスタッフ割引の制度を設けているケースもある。従業員になる魅力が、商業施設には溢れているのだ。

いいことだけではない、飲食店が商業施設へ出店するデメリット

飲食店と商業施設は親和性が高い一方で、それだけの恩恵があればデメリットも存在する。店舗の運営や存続にも少なからず関わるため、必ず確認しておかねばならない。

賃貸料(家賃)の負担が大きい

家賃は売上があってもなくても支払が発生する、無視できない出費だ。路面店でもテナント料(賃貸料)は必要だが、月額固定の契約が一般的だろう。しかし多くの商業施設の場合、賃貸料は店舗の売上に応じて金額が変動する「売上歩合方式(売上歩率)」を採用している。割合は施設によって様々だが、7〜10%程度は予測しておくべきだ。

例えば10%の売上歩率なら、月200万円の売り上げで20万円支払う計算になる。固定費の中でも賃貸料の負担は大きな比重を占める。事前に「どの程度の売上歩率がかかるのか」「毎月の売上がどの程度なら赤字にならないのか」をシミュレーションしておく必要があるだろう。

営業日や営業時間に制限がある

商業施設に出店すると、営業日や営業時間を施設側に合わせなければならない。一般的な施設では概ね、開店時間は午前9時〜11時、閉店が午後8時〜11時頃だ。飲食店エリアだけ営業時間が違う場合があるものの、深夜まで営業する居酒屋や、早朝に開店するカフェといった業態によっては、商業施設の条件とマッチしないことも考えられる。

売上金が毎日入らない

商業施設のテナント売上金は「預り金精算方式」で支払われるケースが多い。この制度は売上金を施設側に送金し、賃貸料や経費が差し引かれてから店舗に振り込まれる。つまり1日の売上がどれだけ高くてもキャッシュは一度手元から離れ、月に数回の振込日になるまで入金されない。

ギリギリの資金でやり繰りしていると仕入れや従業員の給与などの支払にも影響が出てくる。特に支出が多い開業時は、ある程度余裕のある資金繰りをしていないと、黒字でも手元にキャッシュがないといった状況になりかねないので注意が必要だ。

施設主催のイベントには参加

季節やトレンドに応じて定期的に開催される商業施設のイベントは、入居している店舗も参加を求められるケースが多い。イベントによっては、店舗側が賞品となるサービス・物品を提供することもある。飲食店なら、割引券やクーポン券の発行などでの協力になるだろう。

提供する物品や割引サービスの負担は、基本的にテナント側が負う。せっかく提供するなら、しっかりと店舗のPRや販売促進につながるように心がけたいところだ。

駐車場代金の負担も

有料の駐車場を備えた商業施設では、利用客の購入金額に応じて駐車券の割引を実施している場合がある。こうした駐車場代金の割引も、店舗側が負担する。

負担額は施設によって異なるが決して軽くはない。特に地方の商業施設では、遠方から車で訪れる利用客も多い。経費の一部として、事前に想定しておく必要がある。

出店前にやっておきたい準備と出店後の課題と注意点

商業施設への出店は、路面店の場合と条件が異なる。店舗運営に失敗しないためには具体的にどんなことに気をつければいいのだろうか。出店前と出店後の対応について、詳しく解説していく。

商業施設や、飲食店エリア・フードコートの特徴を知る

日本のショッピングセンターの平均年商規模は約100億円とされている。一概にはいえないが、単純に年商50億円の施設なら、客数や店舗の売上なども半分ほどの予測となる。施設の客足や売上はそのまま集客数に関わるため、自店舗の規模や方針と合致しているかチェックしておきたい。

多くの商業施設はテーマやコンセプトを持っている。場合によっては商業施設にあわせ、既存のブランドをブラッシュアップさせたり、新業態を開発したりする必要もあるだろう。施設の世界観に合わせた店舗戦略が、より多くの集客につながるのはいうまでもない。

出店規約や規則、出店後の制約を確認

商業施設では、出店規約や規則などが定められている。事前にしっかりと内容を確認しておかないと、思わぬ制約が店舗運営に大きな影響を及ぼしかねない。

例えば、施設によっては、統一感のある内装を求められる場合がある。店舗の照明や看板といった、デザイン・レイアウトに制約があったり、内装工事は施設側の指定業者しか選べなかったりすることもある。そのために想定より工事費用が高くなる可能性も考慮しなければならない。

客層に合わせた飽きさせないメニュー

ターゲット層が明確な商業施設への出店の場合は、当然ながら客層に合わせたメニューを考える必要がある。コストパフォーマンス重視の若者が集まりやすい施設なら、ファストフードのような手軽に注文できる業態が良いだろう。周辺に公園がある、オフィス棟や居住エリアがあるといった環境なら、デリバリー・テイクアウト需要も期待できる。

幅広い年齢層が集まるフードコートも、ファストフード業態と相性が良い。複数店舗で共有する客席数に対し、調理スペースが狭い場合が少なくない。最低限のスタッフでオペレーションを回しスピーディにメニューを提供する必要がある。

ファミリー層が多い施設なら、お子様ランチのようなメニューも考えたい。その際は特定の食物アレルギーに配慮した食材の表示やメニューづくりが必要不可欠だ。

メニュー名や産地、食物アレルギーなどの表示が厳格

商業施設では出店する飲食店に対し、食品の管理方法をはじめ、メニューのうたい文句や食材の産地、アレルギーの情報管理まで厳格にルール化しているケースが多い。過去に社会問題となった食品偽装事件や深刻な食中毒事故によって消費者の食の安心・安全への意識は高まっている。テナントが不正表示や食品事故といった不祥事を引き起こせば、商業施設のブランドイメージを損ないかねない。

そのためメニューの改変や使用する食材の変更があるたびに、アレルギーや原材料の産地を証明する商品規格書の提出を義務付けている施設も多い。書類やエクセルで管理していては大量になって管理が煩雑になってしまうので、システムでデータベース化している企業もある。

空き物件・テナント募集の情報が出にくい

商業施設での出店は、集客や人材募集に多くのメリットをもたらすため非常に人気が高い。空き物件やテナント募集が開始されると、すぐに埋まってしまうことがほとんどとなる。

だからこそ、そうした募集情報については常にアンテナを張っておくことがスムーズな出店につながるはずだ。

現在では、情報誌や広告だけでなくWebサイトにて商業施設の物件情報を探せる。あらかじめ会員登録をしておき、気になる物件はチェックするなど、事前準備や細かい情報収集が重要になるだろう。

メリットとデメリットを天秤にかけ、利益につながる出店を行う

飲食店の商業施設への出店は、ある程度の集客が見込めることや宣伝費を抑えられるなどの魅力的なメリットが数多くある。しかしその反面、賃貸料やイベントの半強制的な参加などの負担があることも十分に理解しておきたい。

それに客層や店舗デザイン、提供するメニューなども商業施設に合わせる必要があるため、入念な打ち合わせや施設のコンセプトにマッチした店舗設計も重要だ。

商業施設への出店を成功させるためにも、まずはこれらのメリットとデメリットを把握し、店舗の利益につながる計画を立てることが必要になるだろう。


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