業界動向

コロナ禍の動向と次世代飲食経営のポイント。維持するための協力金利用から新業態のための補助金活用へ

2021年09月08日

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新型コロナウイルス対策として最初の緊急事態宣言が発出されてから、1年半ほど経過した。いまなお繰り返される緊急事態宣言やまん延防止当重点措置によって消費者の外食自粛が続き、飲食店は厳しい状況に追い込まれている。外食産業専門のコンサルタントで多くの実績を残す、株式会社ブグラーマネージメント代表取締役の永田雅乙氏は、コロナ禍でも成長のチャンスがある飲食のビジネスモデルが存在すると語る。

協力金バブルと選挙が飲食店に与える影響

【Q】オリンピック後の飲食業界に、新しい動きはありますか?

忘年会なしが飲食店を直撃。年始のピンチを乗り切る実践的な集客術とメニュー開発

株式会社ブグラーマネージメント
代表取締役 永田雅乙氏

緊急事態宣言やまん延防止当重点措置による時短要請によって経営が厳しくなったので、倒産してしまう中規模の飲食店が増えてきました。好立地でも空き店舗が急増しています。

一方で、個人店は大手より空き店舗化は進んでいません。実は、小規模の飲食店は協力金バブルと言われているくらい、協力金の恩恵を大きく受けている店もあるからです。

これまでは営業許可を取っていれば協力金の対象になっていたので、あえて店舗を増やしているところもあったほどです。しかし今回の緊急事態宣言から新規出店者は対象から外れましたので、今後は個人店でも空き店舗が増加すると考えられます。

また、次の衆議院選挙が終われば、飲食店を含めてコロナ対策の方針が変わると思います。おそらく経済回復に向けて大胆に舵を切るでしょう。例えばワクチンの接種率の上昇を理由に、協力金は減るかもしれません。一方で時短要請もなくなり、飲食店は通常営業に近い形に戻れると思います。しかし、急に営業再開してもいいといわれても、集客が追いつかない飲食店が多いことも事実です。

飲食業界は今後回復するか

【Q】急事態宣言が明けてから年末以後、外食需要は回復するでしょうか?

コロナ禍で国民の生活様式が変わりました。ですから、これまでのような年末商戦は期待できません。それでもここまで苦しくて年末に賭けている飲食店も多いので、年末まで倒産率は上がらず、個人事業主など小規模な店が多い飲食業界では2022年明け早々に撤退するところが増えると思います。

緊急事態宣言が明ければ、自粛生活のストレスから解放されるように感じる人が増えるので、外食への支出が増え一時的に売上は回復すると思います。 

一方で、お酒を飲む習慣や夜遅くまで外食する習慣がなくなった人が増えてきています。短期的な外食需要の増加は予想されますが、長くは続かないでしょう。

【Q】東京オリンピックが終わりましたが、今後のインバウンドについては期待できますか?

東京オリンピックがあって日本への注目が集まりました。今後は新型コロナウイルスのワクチン接種を受けたことを証明するワクチンパスポートなどが浸透すれば、インバウンド需要の再来は期待できるでしょう。早ければ2022年の夏からはインバウンドの回復が見られると思います。

ウィズコロナ・アフターコロナで生き残るためには

【Q】コロナ後も飲食店経営を続けるポイントは何でしょうか?

専門性のある業態にすることと、デリバリーやテイクアウトに強いことが重要になります。今後、個人事業主は出店と退店が激しくなるでしょう。今までは賃料・保証金、客席を設けるための内装造作費用が多くかかっていましたが、最近は店内飲食機能を持たずデリバリーやテイクアウトに特化したゴーストキッチンが増えていますね。

そして立地の見直しも重要です。昔ながらの都内で駅近の立地は今も有利ですが、今後は乗降者数の多い駅で少し離れた不便な立地がポイントです。デリバリーの場合は路面店や駅にこだわるよりも、2km範囲内に何万世帯存在するかのほうが大切です。

新たなビジネスモデルの必要性

【Q】今の飲食店に必要なものはなんでしょうか?

足元の経営を立て直すために、まずは売上アップの方法を考えるべきです。例えば、ゴーゴーカレーは休業に追い込まれている飲食店に対して「ゴーゴーカレー監修のランチをやらないか」と声をかけました。加盟金を取らない分、自社商品を卸して、全国的にフランチャイズの加盟者を増やしたのです。そして認知度促進のためコンビニ各社とのコラボ商品を多く出すことで、レトルトのルーを置けるスーパーを増やすことに成功しています。

このように、同業他社を助けながら、両社の売上げ向上を目指すwin-winのフランチャイズモデルの登場によって、フランチャイズもPR方法が変わってくるでしょう。

地方ならではのチャンスと注意すべき点

【Q】地方ビジネスにおけるチャンスはどういうところにあるでしょうか

地方はCX(Customer Experienceの略称)つまり「顧客の体験価値」の向上がポイントになると思います。

コロナ禍によって都市部ではすでにデリバリーやテイクアウト、EC(ネット通販)などさまざまな提供スタイルが定着しました。日本はそばの出前や宅配ピザなど、配達料を取ってこなかった歴史があります。しかしコロナで配達料が浸透したことで、特に都市部の人は配送手数料への抵抗が軽減したように思います。

もちろんこの波は地方にも訪れます。まだ都市部ほどの売上は見込めないと思いますがそれでもチャレンジするべきです。

デリバリーであれば「専門性が高い」「取り寄せできない」「自宅で作れない」「出来立ての方が美味しい」といった、デリバリー向けのメニュー作りが求められるでしょう。コスパの良さを求める顧客を満足させる高単価なものが望ましいですね。

ECであれば、ローカル色の強い商品です。店舗と違い、お客さんの居住エリアに制限はありませんので全国に拡大が可能になります。まずは小規模でも通常の店舗と並行してECを始めてみて、徐々に全国に広げてみてはと思います。

“維持するための協力金利用”から“新業態のための補助金活用”へ

【Q】先行きが見えない中、新業態を展開するのに不安がある人もいると思います

これまでの新型コロナの協力金とは異なる、新しい補助金がたくさん出てきています。これらを上手に活用することで新しいチャレンジができると思います。今後は維持するための協力金ではなく、新業態のための補助金に移行すると思います。

すでに銀行も赤字を埋めるためだけの貸付は行わず、どのように活用するか、貸付の用途を審査するようになりました。そのため補助金の獲得には、例えば、小規模の飲食店であってもデリバリーや、EC販売をスタートしたい、またはそのために「急速冷凍機」などを購入が必要など、とにかく今のビジネスの延長・継続ではなく、新しい業態やビジネスへの拡大にむけて審査員がイメージしやすい新規事業であることが重要です。

私は今が新たな業態が飲食業のビジネスチャンスだと思っています。自社の展開している事業の強みや立地をもう一度見直し、新しいビジネスにチャレンジしていってほしいですね。


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