企業インタビュー

食材卸から宅配弁当事業展開へ~富士フーズ後藤秀夫社長

2014年02月12日

独身世帯の増加で個食ニーズが上がり、注目される中食・配達弁当業界。大手飲食店の参入とともに、淘汰される昔ながらの配達弁当事業者も続出するなど、業界自体に大きなうねりができています。そんな中、弁当食材にこだわり続けて30年の富士フーズ様は、培ったネットワークを生かしてオフィス向け弁当配達サービスを展開。新たな試みを続ける後藤秀夫社長に話を伺いました。

「冷凍食品の時代が来る」と先見の明

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-●後藤社長は、どのような環境で育たれたのでしょうか。
私は1966年(昭和41年)に八王子に生まれました。私が子供のころ八王子は機織業が盛んで、我が家も祖父の代から機屋を営んでいました。商売をして軒先でお金を数えている家が多く、「お金を稼ぐ」ことを身近に感じており、自然と「自分もいつか自分の商売をするんだ」という気持ちが芽生えましたね。

 お金を稼ぐ仕組みに興味があり、小学生の頃から高校卒業まで、家業のみならずスーパーや飲食店、工事現場など、様々な業界にアルバイトとしてもぐりこみました。その中で、特にすかいらーくの(セントラルキッチンを備え合理的なチェーン展開をするなどの)仕組みには驚かされました。このような飲食関係のビジネスの仕組みを作るのは面白そうだなと感じて、高校卒業後は八王子にある冷凍食品の卸会社に就職したのです。

-●冷凍食品の卸会社に入社された理由はなぜですか?
これから絶対に冷凍食品の時代が来る、と確信していたからです。当時、冷凍食品はまだメジャーではなく、一般向けのスーパーにもあまり置いていませんでしたし、弁当屋からも冷遇されていました。でも私は、すかいらーくのシステムを見て、絶対これから広がるものだと感じていました。

入社した会社は従業員4-5人くらいの小さい会社です。社長さんに「跡継ぎがいないから、がんばったら社長にしてあげるよ」と言われ、一生懸命に仕事をしました。すると、1年後くらいにその社長さんが「別の会社を作りなさい」と言ってくれて、「富士フーズ」を立ち上げました。最初の4年間、その社長さんが事故で亡くなるまで「師匠」のように事業を見守って頂き、アドバイスを受けながら弁当用冷凍食品の卸として事業に取り組みました。

-●冷凍食品の中でも、これまで一貫してお弁当用食材を中心に扱っていますが、お弁当に対する特別な思い入れはありますか?
弁当は、和・洋・中、安いもの・高いものなどいろんな食材を入れることができるなど、良い機能をたくさん備えています。例えば何か一つの原料が高騰してもすぐ代わりが利きますしね。

事業を始めたころ、配達弁当は、世間では最も安くてランクが低い、見下されるような食べ物と思われていましたが、私自身は一度発注を受けたら毎日売り上げができる、おもしろい商売だと思いました。そして、そういうところに商品を卸すというのは、会社として強みになります。

-●独り立ちされてから、どのようにお客さんを増やしていきましたか?
まだうちに注文があまり来なかったとき、お弁当屋さん向けに「うちにはこういう食材がありますよ」「こんなお勧めの食材がありますよ」というお知らせみたいな手書きチラシを作ったんですね。それから、注文が来るようになりました。今もそのお知らせは続けていて、発展してカタログのような形で毎月出しています。

そうしているうちに、お弁当屋さんが毎日弁当のメニューを考えるのが大変ということに気づいて、今度はメニューを提案してみました。すると、「助かる」と言ってうちの食材を買ってくれるようになり、「食材を注文するから、一緒に一ヶ月のメニューを考えてくれ」と頼られるようになりました。

弁当のメニューは、食べ合わせや栄養バランス、調理時間などさまざまな制約があり、そう簡単に作れるものではありません。当時、私のように提案営業をする人はそういませんでしたから、お客さんが徐々に増えていきました。そのうち始めたメニューと食材をセットにして売るという方法が大変人気で、お客さんは日本全国に広がりました。2000年ごろまでは、これでとてもうまくいっていました。

逆境の中考え抜いた新事業「お弁当テレビ」

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-●2000年は、なにかの転換期になったのですね。
2000年ごろから、世の中が大きく変わりました。物流網が大きく変わり、コンビ二が発展したこと。そして製造業が製造拠点を国外に移し、労働者向けの弁当の発注が激減したことで、宅配弁当業界そのものが伸び悩みました。

弁当のニーズにも変化がありました。高度経済成長期の弁当は、ボリューム重視でしたが、2000年に入ってから人々は健康志向になり、弁当に求められるものが変わったのです。しかし、弁当屋のみなさんは弁当への考え方をなかなか変えることができていませんでした。その上、弁当屋の高齢化が進み、後継者不足という問題も現れ、「このままでは卸し先がなくなってしまう」という危機感を感じていました。

それでも、配達弁当にはいい面がたくさんあります。配達をしますから、利便性ではコンビ二より優れていますし、価格も安い。弁当箱を回収するから、環境にもいい。野菜や煮物を積極的に入れれば、ヘルシーな弁当も作ることもできる。いい面がいっぱいあるのに、コンビニに負けっぱなしというのが悔しくて、7年間社内で考え抜いて立ち上げたのが、宅配弁当サービスの「お弁当テレビ」です。

-●「お弁当テレビ」とは、どういうものですか?
「お弁当テレビ」は、富士フーズをひいきにしてくれていた弁当屋と「いっしょに続けていきたい」という思いで立ち上げた、オフィス向けの弁当宅配ブランドです。お弁当テレビが主にメニューの考案と受注業務を行い、製造・配達業務を弁当屋が担当するという仕組みで動いています。

また、生産性を見直した結果、自社で製造せず生産能力の高い工場で大量生産した弁当を仕入れ、配達業務に特化した事業者もいます。このように弁当屋の業務を、製造、受注、配達、販売に分け、そのコントロールを我々がしております。

同じメニューの弁当を大量生産するということなので、原料をより安く仕入れることができ、商品価格も抑えられています。例えば、長年付き合ってきた富士フーズの食材の仕入先から「レンコンがいっぱい入ったから、レンコンを使ったお弁当テレビ用のおかずを作ろうか」といった提案をいただいて、さらに原価を抑えることもあります。この「お弁当テレビ」が売れれば、富士フーズの食材も売れます。弁当屋にも仕事が入り、業界にいい流れができます。これが、私が描いたビジネスの形でした。

-●現在、どれくらいの注文があるのでしょうか。
「お弁当テレビ」の注文数は1日あたり6,000-7,000食ですね。対象地域は東京、埼玉、神奈川と山梨県の一部です。配送先はオフィス中心で、弁当10個、地域によっては5個から受け付けています。注文はインターネットを経由して個人単位でできるようにしています。従来の配達弁当は、総務やその会社の弁当係がとりまとめをしていましたが、今はフレックスタイム制などワークスタイルの多様化が進み、一人の人間が全員分を管理するのが難しくなりましたから。支払いも個人でできるようにしています。

-●今後はどのようなビジネスを展開していきますか?
競合となる弁当配達事業は増えていますが、私たちはいたずらに配達範囲を広げるより、現在の地域でサービスをより良くしていこうと思っています。ご飯もジャーに入れて温かい状態で届けるなど、何か出来ないかなと模索しています。それとは別に、新事業として高齢者向けの宅配弁当の開発を視野に入れています。お昼の弁当を配り終えた店舗と配送車が手持ち無沙汰になっているので、これらを生かします。行政や、NPOと組むなどして、新しいことに挑戦していきたいです。

富士フーズ株式会社

お話:代表取締役 後藤秀夫様
企業所在地:〒192-0065 東京都八王子市新町1-5
電話:042-656-2211
事業内容:冷凍食品の卸

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